純正流用100CC 12Vモンキー

載せ換えじゃないんですけどね。

※やや上級者向け (2014年5月改訂)


※2014年現在、タイカブ100EXエンジンパーツは部品の生産が安定しない事がたまにあり
絶版ではありませんがタイミングが悪いと長期間の生産待ちになる事があります。
必要な部品がすぐに全部揃う事を確認してからエンジンを分解しましょう。



タイカブ100EXの心臓を移植したモンキーエンジン。
純正流用ボアアップシリーズ三作目。


エンジン本体に社外品は一切使われていない。
2006年現在でも部品の新品入手が可能。 純正ボアアップの頂点。


作例の社外品はマフラーとエアクリーナーのみである。

●クリッピングポイント製ノーマルタイプステンレスマフラー
●レーシングサービスゼロ製エアクリーナー ※記事をよく読んでね


今回は12Vモンキー/ゴリラに限って話を進める。

他の車種でもできるが、一部の車種(ベンリィや一部のカブなど)は
オイルポンプスピンドルのあたりの話をしっかり読むように。

基本的にCDIエンジンならだいたいの車種で可能です。


タイカブCMK型パーツを基準に書いています。
が、どの年式のタイカブエンジンでもたぶん大丈夫。
タイカブ自体、目立つ変更が特に無いまま生産終了したので。




【純正100CC仕様エンジン製作に必要な物】

2008年現在、最近は100CC関係の部品番号の変更、統合も激しいらしく、
一時期ホンダ側でも混乱している時期があったようで、本当はまだ出る部品なのに
「ご相談パーツ」「取り扱い中止」扱いになってる時もあるので注意。
特にシリンダーヘッドなんかがけっこう怪しいようで。
タイカブエンジンパーツは海外製造が多いので混乱がたまにあるようだ。


タイカブのオイルポンプは12VのCD90と同じ物

DAX70のクラッチ一式  強化クラッチとしてカスタムメーカーが昔から売っている

※交換必須な物と、ベースエンジンからも取れるが
せっかくなので新品を使った方が安心な物を書いてある。

※ASSY内でもバラで買える物はゴチャゴチャするので書いてない。
必要な時はパーツリストを見ましょう。(例えばバルブガイドとか)

※他車種の事もあるので、記事をすみっこまでちゃんと読むこと。


【クランクケースの加工】

極力無加工ポン付けがテーマの原付板だが
今回はどうしてもクランクケースの加工をやらねばならぬのだ。

まあ社外品のボアアップキットでもやらなきゃならないのもあるけどね。


タイカブ100のシリンダーは、現行50CCクランクケースの穴の大きさとほぼ同じ大きさなので
そのままではシリンダーを入れる事ができない。
ガスケットありでもクランクケースのボルトを規定トルクで締めると入らないよ。


※シリンダースリーブとクランクケースとの間には
最低でも0.5ミリ以上の隙間が無ければいけない。


シリンダーは入りそうで入らないのだ。 クランクケース3つで試した。

だが、まれにシリンダー本体もしくはクランクケースの製造誤差により、
クランクケース内部にわずかに接触しながらもシリンダーが入ってしまう事もあるようだが、
走った時に熱膨張で歪んだり、振動等でエンジン破損事故の恐れがある。



外せる内部パーツは全て外し、ベアリングはテープでマスキングして
クランクケース左右とボルト一式、タイカブシリンダーと
「犠牲になるセンターガスケット新品」を持って
内燃機屋さんで拡大加工をしてもらおう。

ガスケットの厚みも考慮して加工してもらうので
採寸のために死んでもらうガスケットも必要だ。
ガスケット無しで加工してもらうと、ケースが削られすぎて
スタッドボルトの根元の強度が落ちてしまう。

特にスタッドボルト右上がね。 あそこ根元が薄いから。

元のセンターガスケットにダメージがあまり無い状態で分解できたら
生贄ガスケットは必要無いかもしれないから、そこは各自状況に応じるように。


これは精度が要求されるので、家庭での手作業では非常に難しい。
素直に内燃機屋さんの正確な切削にまかせよう。


ここで金をけちってはいけない。
今回の改造はここが一番大事な所なのだ。



もう一度言うがシリンダーのスリーブがケースにわずかでも接触していると
熱で各部が歪み大事故につながりかねないので、プロに任せよう。
ここは精密加工が大事でございます。


一部のボアアップキットの説明書にも同じ事が書いてあるけどね。


マジックで赤く塗られた部分が削られた部分
シリンダースリーブとケースとのクリアランスが0.5ミリになるように削られた。


ケースの穴の周辺だけ削れば良いわけじゃない。
こんな感じで奥まで削らないとシリンダーは入らない。

だから手作業だと難しい。

削り粉は徹底的に洗浄+確認しよう。

両側をたった0.5ミリづつ程度削り込むの?自分で紙ヤスリとかで出来そう…
などと言う者は事故って死ぬよ。 お金けちるとこ間違ってますよ。

ちなみに加工賃は管理人行きつけの内燃機屋では6500円でした。


※一部の70CCエンジン/全ての90CCエンジンベースの場合、ケースの加工は必要無い。

70CCエンジンは、車種年式によって50CC系のケースを使っている場合と
90CC系ケースを使っている場合があるんだが、話が長くなるので省く。




【スタッドボルトをタイカブのものに交換】
ノーマルのシリンダースタッドボルトを外し、タイカブスタッドボルト一式に交換する。

シリンダースタッドボルトをゆるめる時、締め付ける時は
必ずクランクケースをヒートガンかストーブやファンヒーターの熱風で
クランクケースを「素手で触るにはちょっと熱い」ぐらいまで加熱すること。

着脱しやすくなるし、クランクケースのめねじを傷めない。
取り付けもガッチリできるのでゆるみにくくなる。

この部分のネジ山が舐めたら構造上、リコイルでも直せません。

重要なのは、タイカブのスタッドボルトの「ヘッド側」は
M7×1のネジ山とナットなのだ。 (普通はM6×1)

※注意 「シリンダースタッドボルトのクランクケース側」 つまり根元側はM6×1のままです。
クランクケースのM6のネジ穴をM7に加工するわけではありませぬ。
くれぐれも勘違いしないように。


しかも困った事に、タイカブエンジンのヘッドナット4つは
普通のカブ系エンジンと違い、全て袋ナットなのだ。

このため、スタッドボルト取り付け用ダブルナットとして使えない。
うーむ タイカブのパーツリストに他にM7ナットを使ってる箇所なんか無いな。
M7ボルト・ナットなんか普通はホームセンターなんかにゃ売ってない。



M7ナットは純正で無いのか?との情報を募集したら、
掲示板のソエノ氏が他にも色々見付けて来たよ。

これでダブルナットにも使えるし、
右下はフランジナットじゃなきゃ落ち着かないという人も安心ですな。

…このナットがあるのに、なぜわざわざ4つとも袋ナットなのだろうか。
よくわからないね。


ソエノ氏のサイト http://members2.jcom.home.ne.jp/bostonj5/


タイカブはスタッドボルトがM7なので、ヘッドカバーの穴ももちろん7ミリ。
左がタイカブ 右が6Vカブやモンキー等の旧デザインのヘッドカバー。

一見全く同じ物に見えるが、穴の大きさが違うのがわかるだろう。
でも別に穴以外違いは何も無いよ。


「ノーマルトップカバーの穴をボール盤で7.2ミリに拡大すれば使えるし安いだろ?」
と思うかもしれんが、トップカバー自体は思ったより安いから
ドリルの刃の代金と手間も考えると買った方がお得よ。

社外品のトップカバーを使いたいなら穴の拡大加工しかないけど。




【シリンダーのフィンの一部分を削る】
タイカブシリンダーのフィンの赤い部分は、タイカブ純正マフラー以外では
ほとんどのマフラーの取り付け部に干渉するため、
シリンダー裏側の図の赤い部分を削らなければならない。

リューターとヤスリを使って、他のフィンの形状を参考に
丁寧に美しく削り、耐熱塗料を筆塗りしておこう。
モンキー以外にこの100仕様エンジンを載せるにしても
ここは結構重要。 マフラーが付かなくて泣くぞ。


削った結果。
タイカブ100EX用シリンダーは同じ部品番号で製造時期により
細部の形状違いがいくつかあるけど、掲示板のみんなからの報告では
やっぱりどれもフィンのカドがちょっと干渉するので削らないといけないようで
削らなくてもどんなマフラーにも合うシリンダーはひとつも無いようです。

使う社外マフラーによっては紙一重でフィンに干渉しない事もあるが
みんなからの報告ではそんなマフラーはほんの一部でございます。


これでタイカブ腰上の難しい所はおしまい。
エンジンを組み慣れている人はもうサクサク組める。



※追記

このエンジンを作った当時と違い、今はタイカブ100EXシリンダーは
細部違いのものがいくつか生産されている。
シリンダーを生産する工場の違いかもしれない。
タイ 中国 インドネシアなどいくつかの国で作られているようだ。

少なくとも3〜4種類はあるっぽい。

物によっては削らなくても良いものが来るときがある。
何が来るかは運しだいだ。

一度ヘッドとシリンダーをくっつけ、マフラーをあてがってみて
フィンのカドを削る必要があるかどうかチェックしよう。
ヘッドの排気ポートにマフラーガスケットを入れてチェックすること。



【スーパーカブ90のクランクシャフトを組む】
12Vモンキー・ゴリラエンジンベースでは何の問題も無く使える。

ベアリング左右・カムチェーンスプロケットは組まれた物が来る。
ウッドラフキーをはめるのを忘れないように。




重要

※12Vモンキー/ゴリラエンジンベースの人は読み飛ばして良し。

多くのカブやシャリー、CD50他、一部の車種では
オイルポンプスピンドルが太いタイプ。
(矢印の棒のような部品がオイルポンプスピンドル)

むしろ12Vモンキーのように
50CCで細いスピンドルを使っている車種のほうが異端なのだ。
他ではジャズなんかもモンキー同様に50CCなのに細い。
ホンダのパーツの採用基準はよくわからない。

その車種のエンジンのオイルポンプスピンドルが太いかどうかは
パーツリストを読み、14675-178-000なら「細いスピンドル&ピボット」
14675-GB0-910なら「太いスピンドル」だ。


カブ90のクランクシャフトは大きいため干渉し、太いスピンドルに組む事が出来ない。
画像は12V/CD50のオイルポンプスピンドル周辺


もしも自分のエンジンのスピンドルが、画像右のものだった場合、
12vモンキーやカブ90などに標準装備されている左側の
細いオイルポンプスピンドル一式を使おう。

●細いオイルポンプスピンドル 14675-178-000

●オイルポンプピボット 15384-178-000


社外品のクランクシャフトによくオイルポンプスピンドルの注意書きがあるが
理由はこういう事だからさ。  だけども…?

とっても重要

少しややこしい話になるので、
オロナミンCでも飲みながらゆっくり読んでくれ。

モンキーやジャズのクランクケースは細スピンドル&ピボットを使うのが標準なので
クランクケースのこのオイルポンプをはめる部分の穴の「段差」が深い。
確実に深く製造されている。


だが太スピンドルが標準のクランクケースは
ここの「段差」が浅い場合があり、細スピンドルを使おうとしても
ピボットとオイルポンプノックピンが干渉し、オイルポンプがうまく回らないか
全く組み込めない場合がある。

無理して組み付けるとケースもオイルポンプも歪んだり割れたりして当然壊れます。

ピボットやオイルポンプ側の干渉部分を削る事で対応している人もいるが
きっちり確実に安全に作りたいなら、太スピンドルを旋盤屋でこのように加工してもらおう。
細い部分は直径5.5ミリにする。

回転するものなので、これを直接チャックでつかませないことが理想なのだが
使う旋盤によってはなかなかそうもいかないので、
つかみ傷が入らないようにできるだけ注意して加工してもらうこと。


一番困った話なのは、みんなからの報告では

クランクケースのここの段差が深いか浅いかでこの加工が必要かどうかは
そのバイクの年式や部品番号の違いだけの話ではすまないのだ。

全く同じ部品番号の新品クランクケースを2個同時に買っても
片方はここの段差が深いのに、片方はやや浅いなど
ケースごとに仕上げがマチマチなのだ。

製造側としてはピボットが無いものはある程度適当でいいのだろう。
ピボットが必要なケースは確実に深く製造するんだろう。 たぶん。

ホンダとしてはオイルポンプ本体がきっちりはまり、きちんと回転すればそれでいいわけだ。
もしくはホンダの毎度の流用改造の邪魔の嫌がらせだと思われる。

とにかく、太スピンドル加工が必要になる場合のほうが多いので
細スピンドル&ピボットを買うよりも、太スピンドルを加工する事になるのを想定して
純正90CC/100CCを作ること。 細スピンドルとピボットが無駄な買い物になる。

モンキーやジャズ、カブ90、タイカブ100EX、CD90などのは細スピンドル&ピボットが標準なので
ここの段差の深さは正確にきっちり確認して作っていると思われる。
クランクケースの製造工場がどういう工程で仕事しているのかは謎だけどね。


だがなぜホンダがわざわざこんな事をしているのかさっぱりわからない。
細スピンドル&ピボットで統一した方がいいのに、
いつもの流用妨害の嫌がらせとしか思えないね。


FIカブ110のスピンドルがこの問題解決に使えそうかと思ったがダメ。


軸の太さも違うし長さも違うので組み込めない。




【スピンドルの交換のやりかた】
ギアが回らないように割り箸を噛ませる。 竹の割り箸が丈夫でいい。
※ドライバーなど硬い物を噛ませるとケースが壊れるぞ!

このギアはケースを全バラしていないと交換が困難なため
少しでも磨耗してたらついでに交換したほうがいい。



バイスグリップと適当なワッシャー2枚で軸の凸部分をガッチリ掴んで
半時計回りにグリッと回すとコキンと緩む。 M8ワッシャーあたりを使うのがいいかな。
絶対にバイスグリップで直に掴んだらダメだよ。 傷で使い物にならなくなる。


で、


『なぜタイカブのクランクシャフトを使わないの?』
画像はタイカブ用クランクシャフト。

クラッチ側のシャフトの形状が、
タイカブ型二次クラッチ専用に設計されている。
CD90用のと似ているが互換性は無し。


12Vカブ90クランクシャフトはクラッチ取り付け側の形状以外、
他は強度含めてタイカブクランクシャフトと構成部品・性能・機能は全く同じ。
ピストンピンの直径も13ミリなので流用が可能なわけだ。




【タイカブオイルポンプを組む】
タイカブと12V/CD90のオイルポンプは統合された。
古いタイカブのパーツリストの旧番号では今は注文出来ない。(販売中止扱い)
タイカブのオリフィスの穴の大きさも、多くの90年以降の12V車50〜90の0.8ミリと同じ。

そういうわけででタイカブポンプをどの車種に組むにも
オリフィスの拡大加工は必要無い。


このへんの話は車種別/年式/歴史/6Vから12Vへの変遷、CD90Aエンジンの詳細、
各メーカーの主張の検証など、掲示板でさんざん討論したので
今更ツッコミは無用だ。 黙って言われた通りに組め。
海外でのみ販売されているナイス系やウェイブ系含めて調査したが
さらに巨大なオイルポンプだったのだがオリフィスの大きさはやっぱり0.8ミリでしたよ。

とにかくこの仕様にはオリフィスの拡大はしなくていい。


「はい!僕は言うことを聞いてオリフィスを拡大せず黙って組みます!」という素直な人は
この下の長いお話を読み飛ばしていいです。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━素直じゃない人は読む━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



6V/12VのCDIのケース全般はオリフィス0.8ミリ(左)
6Vのポイントのケース全般のオリフィスは0.6ミリ(右)

まず基本知識のこの違いを頭に入れずに、
強化オイルポンプを扱う事も語る事もできない。

※ケースの製造誤差で無加工でもオリフィスの穴が若干大きめな事がまれにあります。
製造年代や車種の差ではなく同車種同年式でも色々見比べました。


勘違いしている人も多いけど、オイルポンプから送り出されたオイルは
オリフィスを通って腰上に行くルートと、クラッチ側のクランクケースカバーの通路を通り
クラッチを経由してクランクシャフトへ行く二つのメインルートがある。
全部が全部オリフィスを通りシリンダーヘッド側に行くわけではない。




今回は純正流用100CCで、
タイカブ100EXのエンジンにならって組むエンジンだから
もちろんオリフィスの拡大は必要ない。

しかしこれが社外ボアアップだったら話はどうなるか?

「社外ボアアップの場合は話は別で拡大するかどうかは各自の判断で…」

と、とりあえず管理人は言ってはおくが、
管理人は個人的にはCDIケースになってからのエンジン全ては
よほどの改造内容でない限りオリフィスの拡大をする必要は無いと思っている。

一般的な75CCや88CCなどのノーマルヘッド社外ボアアップ程度での改造を例にすると
6Vポイントエンジンのクランクケース全般はオリフィスの大きさが0.6ミリなので、

例えば6Vポイントクランクケースで
タイカブ100EXオイルポンプと同等ぐらいの社外強化オイルポンプを付ける場合には
12Vエンジンにならって0.8ミリに拡大すればいいと考えている。 



裏付け調査で6V/12V・CDIケースのオリフィスがどうなってるか
純正50〜110までのキャブ車種のエンジン全部調べたが
どれも穴の大きさは0.8ミリだった。
12Vモンキーの新品のクランクケースのオリフィスの画像。



海外のキャブ時代のウェイブやナイスなどの110CCクラスは
さらに巨大なオイルポンプだが、それでもオリフィスは同じ0.8ミリなのです。


オリフィスを拡大しすぎるとせっかくオイルポンプを大きくしてもオイルの噴出圧が落ち
オイルの循環性能がかえって悪くなり、せっかくのオイルポンプの実力を出せなくなることになる。

オイルの腰上への流量だけじゃなく噴出圧を考えて穴の大きさを決めなければならない。
いきなり大きすぎはとにかくだめ。 拡大するにもまず小さくから試していこう。


これはジャンクのケースでオリフィスを1.5ミリのドリルで拡大実験してみたもの。
1.5ミリでこれである。  2.0ミリに拡大するのが
いかに穴を大きくする事なのかわかる。



というわけで排気量は何CCでも、超高回転仕様でオイルは標準より硬いタイプで
タイカブポンプ以上の大きさの巨大な社外オイルポンプを付けるような改造でもない限り
モンキー用の小型社外オイルクーラーを付けてもオフィリスの拡大など必要は無いと考えている。

エンジンの回転があがると、オイルポンプがオイルを送る勢いが増し、
オリフィスから勢いよく水鉄砲のように噴出する。

その勢いよく送り込む量に対してオリフィスの穴が小さすぎ、
オイルの噴出が追いつかずにオイルがポンプ内に渋滞しオイルポンプ内の圧が高くなりすぎ、
高回転域が鈍くなったり場合によってはオイルポンプが破裂するようような
「オイルロック現象」が起きるほどの超高回転仕様かつ大型オイルポンプ仕様なんて
そんなカリカリチューンエンジンにするような人はよっぽどの一握りの人だけだ。


このへんの話は改造仕様にもよるので、全てに当てはまる正解はございませぬ。
拡大するべき改造仕様も確かにある。 拡大しないが全面的に正しいわけではない。
拡大すること=悪 ということでもない。


良かれと思って拡大したものの、気付かないだけで
実際はむしろマイナスになってて強化オイルポンプの意味があまり無くなっている
となってしまっている残念な改造エンジンも多いだろうね。

実は無駄な拡大だった…というのが悲しいのは確かなことだ。
最小限かつ適切なのが機能的にも気分的にも良いよね。


まず拡大しないで組んでみてゆっくり短時間を走って様子を見て、
だんだんとスピードと走行時間を増やしてみてエンジンの温度の傾向を調べる。


単純にオイルの温度だけではなく、ヘッドまわりだけが異常に熱すぎるとか
走り出して数分もたってないのに熱くなりすぎるとか、
高回転が鈍るなどの不満と不具合があれば、
手間とガスケット代がかかっても、また分解して
拡大するかどうかの検討をするのが面倒だけども理想ではある。



よっぽどの改造で長時間ブン回しまくりでもない限り、
いきなり焼きつきはまずしない。

テスト走行は短距離短時間から始めるものだからね。


オリフィスの拡大のみでの冷却効果など微々たるもので、
それだけで充分な冷却効果を期待するだけ無駄に近い。

そもそもオリフィス拡大加工は
冷却効果を上げるためだけというものでもない。

ヘッドにオイルを回す重視なら拡大する
クランクにオイルを回す重視なら拡大しない
どちらかに微調整するという要素のほうが強い。



社外ボアアップのとくにノーマルヘッドのままの安物のボアアップキットは
ハイコンプ(高圧縮)仕様でパワーを出す仕様のものが多い。


ハイコンプ仕様のエンジンの発する熱はかなりのもので
オリフィスの拡大程度では満足に冷えやしない。 まさに焼け石に水そのもの。
それこそ大雨の中で乗るほうがまだ冷却効果がある。


他に、3速遠心エンジンとMT4速とでは例えば同じ60キロで巡航すると
ギア比の関係で遠心のほうが60キロの時のエンジン回転数は高いので、かなーり熱くなる

「私は○○社のシリンダーとピストンのみの○○CCボアアップキットだけどオイルクーラー必要ないよ」
とアドバイスされることもあるだろうが、
4速MTと3速遠心では60キロ出てる時の回転の高さが大違いだ。
なので、とくに3速遠心エンジンで社外品ボアアップする場合こそオイルクーラーが必須である。


さらに、例えば同じシリンダーとピストンのみの
社外品75CCや88CCボアアップキットでも、6Vと12Vとでは
まずピストン形状が大きく違うし、6Vと12Vとでは純正ヘッドも違うので、
発熱量やエンジンの癖など、性質が違う。

同じ排気量でもカスタムパーツメーカーごとの差ももちろんある。


なので、ネットなどで他の人のエンジン仕様を参考に社外品ボアアップする場合は、
自分のエンジンが6Vか12Vか、できればエンジンナンバーもきちんと言わないと、
「自分のエンジンには適合しないアドバイス」を受けてしまうことがある

もちろんアドバイスするほうも気を使わなければならない。

12Vの社外品75CCのキットしか触ったことがないのに
6Vの社外品75CCも同じ性質であると思い込み、6Vエンジンの相談してる人に
「自分の12Vモンキーの75CC仕様ではこれこれこうなのでたぶん6Vでも大丈夫です」
とアドバイスするのは、まったくもってよろしくない。


ちょっと話が脱線してしまったが、



要するに試走もしないうちに拡大加工するよりも、試走してみて冷却に問題や不満を感じたら、
まずは小型のでいいのでオイルクーラーを付けてみるべきです。 確実な冷却効果があります。



「でもボアアップキットの説明書にオリフィスを2ミリに拡大しろって書いてあるし!」
そもそも例えば、キタコはキタコでエンジンチューンに他社のパーツを使う事は前提にしていない。
キタコはキタコで出しているパーツのみでエンジンチューンをする事前提だが、現実はそうもいかない。

マフラーはデイトナ クラッチは武川 キャブは中国のわけのわからんコピー品とか。 

メーカーは大勢の客のいろんな仕様にひとつひとついちいち対応なんかできないので
最初からクレーム防止策として、よくあるメチャクチャな部品の組み合わせの
インチキ仕様を想定して「とりあえず拡大しとけ」と書いているにすぎない。

もしも管理人がカスタムパーツメーカーの社員でもそう書くだろう。


オリフィスを拡大してあること自体は
「とりあえず」重大な故障につながる事はそうそう無いからね。


しかもユーザーが何のオイルを使うかはメーカーは予想できない。
安物のわけのわからぬ粗悪オイルやら、怪しげな添加剤やら
粘度は同じでも自動車用のオイルやら。 (とくに車用オイルはクラッチに悪い)


とくに標準10W-30より硬いオイルで、オイルポンプが大きくオリフィスが細いままでは
オイルが完全に温まってないうちに上まで回してエンジンを急激に熱くしてしまうと
オイルがまだ低温でドロ〜リとしているのでオリフィスをスムーズに通れずにオイルロックが起きやすい。
なのでヘッドにオイルがうまく回らないのでカムまわりが焼きついてしまう。

そしてオイルの適正温度に達する前ではオイルの潤滑性能が完全に出ていないので
上までブン回してしまうとシリンダーとピストンの焼きつきの原因になる。

社外ボアアップエンジンは充分な暖気が必要なのはそのへんもある。
ノーマルでもエンジン冷えてる時に乗って即全開は危険なのに、
社外ボアアップエンジンで硬めのオイルで即全開なんて超危険。


最近はキタコも強化オイルポンプの説明書に
オリフィスの拡大しすぎはダメと書くようになった。
何やら日本語が怪しい。

※この説明書は6Vも12Vもスーパーオイルポンプもウルトラオイルポンプも
全部一緒の共通の手抜き説明書なので、構成部品の説明も含め
初心者にはとてもわかりにくい不親切な内容となっている。





まとめると、

管理人の意見としては、オリフィスの拡大は超高回転仕様&大型オイルポンプ装着時に
オイルロック現象を防ぐ目的としてならオリフィスの拡大は意味があると考えております。


例えば12Vモンキーならボアアップしても、

・ノーマルと同じ回転域で使う
・オイルは標準の10W-30仕様
・タイカブ100EXの純正オイルポンプより大きくない社外品
・オイルクーラーが大きすぎない


これならばまず拡大の必要は無いだろう。


拡大する必要があるとしたら、
これらの要素が一つでもあるかどうか。

・超高回転仕様   ・大排気量
・オイル粘度が硬めのものを使う事が推奨される改造仕様
・6Vポイントエンジンに大きめの社外オイルポンプを付ける場合
・12Vエンジンにかなり大きな社外オイルポンプを付ける場合
・オイルクーラーが大きいもの



といった感じだろう。

もう一度言うけどもオリフィスの拡大は
それのみで冷却効果を期待するための加工ではない。
というかそんなこと程度で冷却効果なんてほぼ無いと思っていい。

まずは拡大しないで組み、走ってみるべきだ。 それで熱に不満ならオイルクーラーを付けてみる。
いろいろ試してみて、その上でオリフィスの拡大をするかどうか検討するかどうかの話を考える。
テスト走行もせずにいきなり2ミリに拡大なんてのはよろしくない。  愛が無い。

拡大するにしても素の状態の0.8ミリをまずは1.0ミリにしてみるなど
少しづつ大きくして様子をみることだ。 大きく開けすぎたのは元には戻らない。


とにかく何も考えずに拡大するってのが良くない…が、
「そんなこと言われても何を考えたらいいのかすら初心者にわかるわけないし無茶言うな」
って人は、今ここ読んだからすでにオイルポンプカスタムのチューンの極意の7割は理解したも同然。
お前のレベルは10分前よりすでに1つ上がっている   m9(`・ω・´)


盲目的にオリフィスを拡大する人が多いのだが、ちょっと待ってほしい。
拡大してしまうとケースの価値はジャンク扱いになる。
拡大したらもう元には戻らないし、オリフィス部分を交換することはできない。

加工しなくてもいい可能性がある以上、最初はしないで試すべき。
オリフィスのように交換できない箇所ならなおさらだ。

例えばオリフィスを2ミリに拡大したとしよう。
試しもしないで何も考えずに加工したのと、
試して考えた上で加工したのとでは、
やった事は同じでも意味が違う。

いやそりゃ分解の手間とガスケット代はまたかかるかもしれないけど
改造ってのはそういうのを楽しむもの。

それにガスケット代ごときクランクケースを買い直す事を考えたらなんてことのない事だ。
とくに6Vのポイントのクランクケースは新品で買うことがもうできないのだから。


そんな手間が嫌だって人は社外品ボアアップなんて最初からやらないほうがいい。
それこそ純正流用ボアアップのネタはそんな人のためにあるのだ。



もう一度言うが純正流用ボアアップにオリフィスの拡大は必要ない。
純正流用ボアアップにタイカブポンプ以上の大きなオイルポンプを付ける必要もない。


オリフィスの拡大の話はいろいろな意見があるので、
これらはあくまで管理人の意見にすぎないけども
管理人はここまで調査して物を言っておりまする。

これらを知った上で、何をどうやるかの最終判断をしよう。


何も知らない人が説明書通りに拡大加工してしまう事を責める事はできませぬ。
すでにやってしまった人を責める事もできませぬ。


ネット上にも本にも本当に情報が無かったのだ。
エンジンチューンの時はオリフィスは加工する事が当然であるかのように
どこにでも書かれていた。

あらゆる箇所の加工は極力避けたいという方向の原付板だからこそ
今までカブ系のオリフィス加工についてマジメに考察したのはここぐらいのもんだ。

いいかげんなオリフィス加工された中古クソエンジンを山ほど見た管理人である。
穴のサイズがどうこういうレベルじゃないグチャグチャないびつな穴もいっぱい見た。



もう一回言うが、説明書を信じて何も考えずに拡大するのは悪ではない。
これはしょうがないよ。 だって説明書に書いてあるんだもの。

本来オリフィスの拡大作業は実験と検討を重ねて最小限でやるのが理想的である。
正解が無加工かもしれないし、1.0ミリや1.2ミリかもしれない。 それを探すのだ。

拡大するべきなのに拡大しないのもまた悪である。
しかし愛ゆえにリスクを理解した上で拡大しないと判断してるなら良し。


少なくとも、これからエンジン改造しようという人は
ここを読んだのなら、強化オイルポンプ購入前の段階からオリフィス加工について
何をどう考えたらいいのかの基礎ときっかけができたはずだ。

長々と書いてきたが、この話はそれが目的なのだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━読み飛ばし終わり━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━







DAX70のクラッチ一式を組み
エンジンの右側を仕上げる。



タイカブカムチェーンを組む。
カムチェーンはCD90やカブ90の物と同じ品番。



ジェネレーターASSYを組む。



カムチェーン周りの各ギアパーツ、ローラーパーツ類の歯数・性能・強度に違いは無し。
(色々な車種・年式のパーツリストで検証済み)

全部の薀蓄書いたらとんでもない量になるので、黙って組め。

これで腰下は出来上がり。
休憩しましょう。



【タイカブ100EXの腰上を組む】
直径50ミリもある大型のピストン。
INと刻印がある方を上にして組む事。


タイカブピストンヘッドはバルブリセスが全く無いどころか
中心に向かってピストンヘッドが少しくぼんでいる。


左が100EXピストン 直径50ミリ
右が12Vモンキーノーマル50CCピストン 直径39ミリ

このタイカブピストンは日本仕様で、
海外仕様にはちょっとハイコンプな物など形状が違う物が
何種類かあるらしいが、日本で入手するのは難しい。



ノックピンは普通のカブ系のものとは違い、外径は同じだが
タイカブスタッドボルトのM7頭に通せるように内径が大きくなっている。


ガスケット、Oリング類は入れ忘れないようにね。
スタッドボルト左下は、オイルの通り道なので
そこのラバーガスケットとカラーの順番を間違えないように。

カラーにラバーガスケットを通してから、シリンダーに組み付ける。
※ちなみにタイカブのパーツリストのイラストはカラーの向きが間違っている。
この写真が正しい。 (上の方の必要な物リストのイラスト画像は修正してあります)


ちなみにシリンダーとクランクケースの間に入るベースガスケットは
画像には写ってないけども、50〜90CCのいつものガスケットに見えるが
金属板をガスケット材で挟んで作られた100CC用のメタルガスケットだ。 やや厚い。



シリンダーヘッドを組み付けて…
これでエンジンそのものは完成した。


ふふふ美しい


ほんとに腰上が今までよりちょっと重いよ


このエンジンだけで10万円で売ってもバチ当たらないと思うんだ


モンキー・ゴリラ以外の人はここまで。
あとは各自がんばるように。







【※ノーマルフォーク・ノーマルフェンダーで使う人は】

カブ90編と同じく、タイカブ腰上は50・70CCエンジンより6ミリ長いので、
トップカバーのフィンを削り、フロントフェンダーの逃げを作る事。




【12V・CD90のPB16キャブレターを組む】
タイカブ本来のキャブと同属・同径・同性能なんだから
ここで他のVMだのなんだの付ける理由は無いと思う。


━━━━━━━━━━重要━━━━━━━━━━
詳しい事は純正流用90CCモンキー編に書いてあるが
PB16キャブを12Vモンキー/ゴリラに使う時は
スロットルケーブルはAB27モンキー・ゴリラ用でないと使えませぬ。


部品番号17910-165-A11


車体番号がAB27から始まる車体の人は
スロットルケーブルはそのまま使ってください。

消えてなければケーブル本体に白文字で
「165-A11」と印刷されているはずです。
※メッキモンキーの銀色のケーブルだと番号が違う事もありますが。

AB27-1XXXXXX〜は同じ「ケイヒンPB系」キャブなので問題無いのですが
Z50J-2XXXXXX〜の車体のキャブレターは「ケイヒンPA系」なので
スロットルケーブルの芯の露出量を最大にしても足りず、
常にスロットルを半開した状態になります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



ジェット設定はタイカブ仕様を基準に始めよう。
今回の仕様ではタイカブ仕様でセッティングが出た。

・メインジェット#72 99101-116-0720
・スロージェット#42 99107-141-0420

〔知っているとお得なお話〕
メインジェットは99101-116-0XX0
スロージェットは99107-141-0XX0
XXの部分に欲しい番手の数字を入れると、
その番手が存在すれば買える。

管理人と仕様が違うのであれば
セッティングのためにいくつか買っておこう。



タイカブヘッドで知っておかなければいけない事。
左は50のノーマルヘッド 右がタイカブヘッド


一般的なカブ系の85CCまでの純正シリンダーヘッドは
マニホールド取り付け部の高さは同じなのだが、
タイカブヘッドは画像でわかる通り、10ミリ高い位置にある。

モンキーの狭いフレーム空間で、この10ミリの差は非常に大きい。
しかもシリンダーのフィンも大きいので、無加工で使えるキャブとマニホールドは限られてくる。

ただでさえモンキーはノーマルエンジンでもフレームの下の空間が狭く
ガソリンコックやら何やらで、綺麗にビッグキャブを収めるのは難しいんだ。



今回のヘッドとキャブ仕様にはハンターカブCT110のマニホールド一式を用意する。
ヤフオクなんかでぼったくり価格で転売厨が売ってますけども。

●ハンターカブ マニホールド17111-459-000
<付属品>
●Oリング 91301-GK4-871(ヘッド側)
●インシュレーター 16211-GB1-900
●インシュレーター用Oリング 91304-GB1-900



【ボルトの部品番号の法則で改造をより便利・安全に】

例えば今回のPB16キャブの固定には純正ボルトが使われているのだが
このボルトの好きな長さを買う方法を教えちゃうよ。

このボルトには96001-06XXX-00の分類番号が与えられている。
このXXXの部分に自分の欲しい長さの数字を入れるのだ。

例えば10ミリが欲しいのなら010。
22ミリが欲しいのなら022、100ミリは100。

この「ボルトの法則」は他のボルトでも応用できる。
法則を見抜けば形状違い、色違いも買えちゃうぞ。

社外品を渋く、さりげなく取り付けたいコダワリな人はぜひやろう。

例えばボルトの法則の秘密
【96001】-【06】【022】-【00】
【形状】-【太さ6mm】【長さ22mm】-【カラーコード:メッキ】
(ちなみに07だと黒仕上げ 他にも法則で色々あるかも?)



また40ミリ以下はだいたい2ミリ刻みで買えるぞ。
あとはだいたい5ミリ刻みになってくる。 色々試してみよう。


キャブによっては固定ボルトが長すぎると
どこかに接触して壊してしまう事があるので
きちんと長さがぴったりの物を使おう。
特に今回のPB系はエアスクリューがすぐ裏に!

画像はどこぞの低脳が壊したPB系キャブ。
意外とやらかしてある中古キャブ多いよ。



で、こんなふうになる。
ガソリンコックは右出しが見栄えが良いだろう。

ドレンチューブもちゃんと付くし、スロットルケーブルも取り回しを変えなくても
たるむ事無く、うまくタンクとフレームの間に通るように付けられる。
変にどこかが接触したりなどの無理がどこにもかかっていない。
最初からこの改造に流用できるように作られたかのような寸法に驚き。


だが重要な事だから聞いとけ。
今回のハンターカブのマニホールドは、
マニの位置が10ミリ高いタイカブヘッドだから使えたのであって、
普通タイプのヘッドに使うにはマニの高さが足りない。

普通のボアアップにはそのへんの社外マニホールド使いましょう。






キャブのチョークのつまみに付いてる丸いキャップが
まれに100CCエンジンからの強烈な吹き戻しで
内圧でシュポーンと吹っ飛んでいくことがあります。
チョークレバーはバラで買えないけど、丸いキャップは買えます。
16148-141-881 ダストキャップ



タイカブヘッド最大の特徴であるオートデコンプ機能
100CC程度で必要なのかどうか知らないが、
セルモーターの負担を減らす目的なのだろうか?

普通のデコンプと違い、
エンジンを切った時にONになるんだとさ。


左が100EXヘッド 右が12Vモンキーノーマルヘッド




■結果■

最高速度82km/h  Fスプロケ15 Rスプロケ31
お好みでRスプロケは29〜30あたりでも良いだろう。

※しかしスプロケのギア比が割り算して2や3のように割り切れる組み合わせは
(例 フロント15 リア30のように) チェーンのコマがまんべんなくギアの歯に循環せずに
同じ所ばかり噛み合い続けるため、スプロケとチェーンにあまりよろしくはない。


ボアアップエンジン特有の変なクセは無く、
下から上まで粘りのある加速と走りをする。 速いぞ。
とてもパワフルで面白いがパワーでは6VのCD90Aエンジンには一歩及ばず。


もちろんオイルクーラーなどのゴテゴテした冷却装置は無用。
クセだらけで気分屋な社外ボアアップエンジンとは違うのだよ。

今回の作例は始動性も非常に良好。
アイドリングは低くても安定している。


安心して日常の足に使える耐久性と、メンテナンス性の良さ。
もちろん純正だからパーツ供給は簡単安心。

今回はあくまで給排気もタイカブ純正ノーマルに準じたつもりでこの性能だが
ハイカムやもっと大きいキャブ、海外仕様のピストンなどを使えば
さらに速くなることだろう。


しかし今回の作例のように足回りがノーマルの場合では
あまりにもトルクがありすぎ、とくに発進の時に毎回毎回ウイリーしないように気を使うので
信号待ちとストップ&ゴーの多い交通量の多い都会で主に乗るのであれば
逆にストレスを少々感じる乗り物になってしまうかもしれない。

完全にたまにしか乗らない趣味専用なら、純正100CC仕様はとても面白く
人にどうだすごいだろと自慢するにはいいものだ。

しかし「速い」と「扱いやすい」はまた別なものである。


あといじる所と言えばミッションのクロス化ぐらいだが、それは各自お好みでやるように。
管理人がノーマル足回りで乗ってみた感想としては必ずしもミッション改造が必要だとは思わない。
エンジンチューンしても無茶で危険な走りをしないなら足回りの大掛かりな改造も不要だ。


他にもうちょっと突き詰めると、さすがに100CCは内圧が大きい。
試しにエンジンを空ぶかししてみると、ブリーザーホースからかなりの勢いで空気が出るのがわかる。

管理人の経験ではトルク重視のスプロケ設定で思い切りぶん回して走って信号待ちで停車したら
ブリーザーホースから熱々のオイルがボトボトぶしゅぶしゅ出てきて驚いた事がある。

普通におとなしく乗るぶんならいいが、ぶん回して乗るような人なら、
それこそオイルキャッチタンクなどでクランクケースの内圧が抜けやすくするようにしてもいいかも。
ファッションだけでオイルキャッチタンクを付けている人が多いが、この仕様なら意味はあると管理人は思う。



ノーマルのブロックタイヤよりもTT100か何かのロードタイヤにしたほうが総合的にいいかな。
モンキーのノーマルブロックタイヤはグリップとか制動力や雨とかなんて関係のないオモチャ用だからね。
これだけトルクがあってスピードも出るならノーマルタイヤもガンガン減っていくでしょう。



3速4速の使用感に不満はない。 モンキーRの4速目のギアの交換にする必要は無いな。

突き詰めるとするなら、12Vモンキーミッションでこの100CC仕様では
1速がトルクがありすぎてウイリーの危険があるし
発進してすぐ1速ではエンジンが吹き上がりギアチェンジが忙しいのだが、

今度は2速は使用域がやたらと広く、3速4速はまあいい感じなので
あえてミッションの改造をするのなら
1速2速を6Vの4速ミッションのギア仕様にするのが理想的かもしれない。
純正は欠品なので入手がちょっと大変ですけども。 キックギアの変更もあるし。

しかしこの「不満」は、発進から最高速までいっきにストッロル全開で加速する時に感じる話なので
ゼロヨンごっこでもやらない限り普通に走るぶんには不満はないし、よほどのマニアでもないなら
わざわざ6Vミッションを探してきて流用チューンするほどのことでもない。

より速くするためのミッション変更というより、より扱いやすくするためのミッション変更です。



というわけで、純正100CCは確かにすごいもので自慢できるが
どちらかというと自己満足のマニアの世界のもので
普段の足の「そこそこ速い実用モンキー」として使うなら
いろんなものを総合的に見て純正90CC仕様のほうが良いと管理人は思う。


この純正100CC編の他に純正90CC編と純正70CC編も書いたけども
それぞれに良いところがあり、またそれぞれにも欠点がある
管理人が3つの仕様のモンキーを作って実験してみて
だいたい誰にでもちょうどいいのが純正90CCだと思う。

排気量と最高速の見栄だけで純正100CC仕様を選ぶのではなく

普段使いなのか、たまにしか乗らないのか、
都会で交通量の多い所なのか、田舎であまり車も多くない直線ばかりなのか
ツーリングがメインなのか、それとも峠でも攻めるのかなど
自分の使い方と環境にあった排気量を選びましょう。
燃費だって考えなくちゃいけないしね。

(管理人はテスト走行のみで燃費計測はしておりませぬ)

もちろん純正72CCだって悪くない。
最高速はそれほど出ないものの、キビキビとした走りを見せる。
交通量が多く道路の狭い都会をチョコマカ走るには純正72CCをすすめるね。




タイカブ100EXの腰上移植は、一部例外もあるかもしれないが
マグナ・ジャズ・CD・CL・ベンリィ・12Vダックス・ソロ・シャリーなどにも応用できる。

基本的にRクランクシャフトを使っているCDIエンジンにはだいたい可能。
(ATシャリーエンジンはクランクシャフトが特殊なので不可)


これでお前のモンキーカスタムはいきなり終了だ m9(`・ω・´)
たった10万円ぐらいでカスタムエンジン究極形態の基礎を極めたのだ!
10万と聞くと大金かけたカスタムに思えるが、全然そんな事はないんだ。


なんだかんだで15万円もあれば
他に余計なもん買い揃えてもお釣りがくるかな。


※これ書いた時よりも今は部品が値上がりしているので
もうちょっとかかるかも。


シリンダーとピストンだけの安物ボアアップキットから始め、無間地獄の行き着く果ては
冷却パーツゴテゴテのクソエンジン。 中古でも価値はろくに付かない。


※勘違いしている人が多いですが、
人気の乗り物はノーマル状態が一番価値があります。
改造すればするほど価値は下がるものです。


安心して使えるようにあれこれやってて、気付いたら50万円ぐらいかかってて
いつの間にか全身わけのわからぬサイボーグなモンキーになっちゃってるのもよくある。
そんなに金かけたのに、結局85キロぐらいしか出ないとか

うまくいって仮に100キロ近く出るようになっても
クセのあるエンジン特性に、いつもかかりにくいわプラグはすぐ死ぬわ
オイルクーラーとか冷却装置が無きゃ熱くなりすぎで熱ダレ、エンジン死亡とかハイオク喰わせろとか

アイドリングは高くしなきゃエンストするわ天気が悪けりゃヘソ曲げるエンジンで
ちゃんと言うこと聞くように調教するにはけっこうな金と手間ですよ。

ヘタすりゃバイクを嫌いになる。
安心して長距離ツーリングも行けませぬ。
気がついたら乗っている時間より苦しんでいる時間の方が長い、
それが社外ボアアップ…というのは言いすぎかしら?


純正流用ボアアアップには「明確な完成」が存在するので
社外ボアアップの先の見えない不調の改善のために
あれこれ買ったり試す泥沼が無いというのが最大の長所である。

社外ボアアップは、カスタムパーツメーカーの出すコンプリートキットでも使わないかぎり
こうすれば万人OK!みんな安心で超速い!という決定版というものが無い。


社外ボアアップは極めれば確かに100キロオーバーのとんでもない速さにはなるが
それまでの苦労や無駄金を楽しめて、サイボーグ状態のモンキーが好きって人にはいいけども

そんな苦労はしたくないし、そこまで速くなくたっていい
とにかく信頼と耐久性が欲しいんだって人には純正ボアアップをおすすめする。
しかし純正流用ボアアップは信頼性が高いが、それほど速くはない。


全国のバイク屋のみなさんは
ボアアップの相談を受けたらお客さんに薦めてみてくだせえ。



お金が無いので少しづつパーツを集めて
少しづつエンジンをパワーアップさせていきたいから
とりあえずボアアップキットだけを買ってきた
どうせ買うなら値段も差が無いし排気量の大きい88CCがいいと思って…

という初心者やお客さんがいるだろうけども
これが一番危険なパターンなのです。 とくに安物キットの88CCが一番難しい。

残念ながらカブ系エンジンチューンはカスタムパーツを一個づつ追加していって
少しづつ段階的にパワーアップなんて事はできません。



それでも言うこと聞かない初心者の客がいたとしたら
以下の文章を読ませて黙らせましょう。


社外品ボアアップキットを買うときは、
高くてもお金を貯めてヘッドも込みのコンプリートキットを買う。
キャブレターやエアクリやCDIなどもそのカスタムパーツメーカーで統一する。
できるだけマフラーもそのカスタムメーカーで適合したものを購入する。

そのほうがお金も時間も無駄にならないし、思った通りの結果が得られるはずだ。
大手カスタムメーカーはコンプリートキットは研究とテストをしたうえで販売しているので
少なくともコンプリートキットでのボアアップは信頼性があると言えるだろう。


安いからとシリンダーとピストンだけの安物ボアアップキットから始めると
たいていは思った以上の結果は得られず、困り果ててなんとかしようにも
特にヘッドに発展性の無い安物キットはそこで詰む。


「黄色ナンバーにしたいだけだから安物の75CCキットを買う」
これも結局ろくな結果にならない そんなことするよりなら
書類だけ75CCにして50CCのまま黄色ナンバーにしたほうがマシだ。


モンキー/ゴリラの歴史は、安物ボアアップキットで流された先人達の血と涙の歴史でもある。
お前はわざわざ歴史を繰り返す必要はない (´・ω・`)9m


そして社外品ボアアップになにより一番必要なのは、
努力でも根性でも情熱でも時間でもない。


「買ったものがダメだと思ったら早めにあきらめる勇気」である。


『買っちゃった&せっかくもらったんだから、何とかして無理にでも使いたい…』

これは社外ボアアップも外装カスタムでも一番やっちゃいけない。
しかもバイク屋にそんなことを頼んではいけない。


例えばわけのわからぬ中古キャブや
バイク屋に相談もせずに何も考えずにとりあえず買ってしまった
ボアアップキットとか持ってこられても
そういうのはとっても嫌な客でありバイク屋だって迷惑だ。

あげくのはてにはバイク屋の腕が悪いとか言い出すからね。


キャブとマニはA社 ボアアップキットはB社 ヘッドはC社 エアクリとマフラーは自分好みのカッコ重視で
CDIはそのへんのバイク用品店で売ってたのをとりあえず付けてみたとか
あれこれごちゃ混ぜに安い改造パーツをより集めエンジンチューンしようとしても
絶対に良い結果にはならない。 これがクソカスタム仕様によくあるパターンである。

社外ボアアップだけではなく、乗り物カスタムの世界では
あきらめないことが勇気ではない
あきらめるのが真の勇気なのだ。

どうやってもうまく付かないものを無理やり付けたって
うまく機能するわけがないし、かっこよくはならない。
最後には状態的にも費用的にもノーマルに戻すこともできなくなり、
急に興味が失せて飽きて放置して腐らせるか、売ってしまうことになる。
メチャクチャになんでもかんでも売ってるもの付けてカスタム(笑)するタイプの人にありがち。

大事なものを外し、余計なものを付けたがる人が多いけども
それはカスタムなんかじゃございませぬ。 ええ。


で、

今回はエンジンを構成するのに必要純正新品パーツだけで8〜9万円くらいかかるが、
(このエンジンを作った2005年時点でのおよそ価格です 今はもうちょっと値上がりしています)
改造で不要になったノーマル腰上一式やクラッチ、クランクシャフトも
程度が良ければマニアに1万円程度で売れる。

安物の社外品ボアアップを苦労して最後までしっかり調教するより費用は絶対に安い。
長く安心して付き合える奴ですよ。 まさにお嫁さんにしたくなるエンジンの仕様。

ゴテゴテ色んなもん付けるのが好きとか
100キロ以上出したいって人に純正流用ボアアップシリーズは薦めなくていいです。
そのうちわかる日が来るさ…純正ボアアップこそ究極のメニューということを!

本物は余計に飾らないものなのさ ( ゚Д゚)y─┛~~


100CC仕様はクランクケース加工ありなので、加工無しの純正90CC仕様もおすすめです。
もう一度言いますが管理人としてはむしろ純正流用90CC仕様の方が走りも好きです。
純正72CCだって悪くありませんよ。

排気量がでかくて最高速が速ければ偉いってもんじゃないですからね。


【キタコPC20マニ仕様では使えるのか?】
実際のところPC20マニのほうがおさまりも良いしカッコも良い。

この画像ではうまく付いているように見えるが、
キャブトップがフレームとがかなり狭く、フレームの製造誤差と
エンジン固定位置のガタが一致してたまたまギリギリ付いただけである。
なので「本来PC20マニは使えない」という事にしておきます。
あくまでハンターカブマニホールド推奨。

PC20マニ仕様でキャブレタートップを外すために
毎回キャブ本体を外すのが平気な人ならいいとは思うけど。




【追加記事】

この100CC編は作られた時期がけっこう前なので。
2008年現在、エアクリーナー関係がやや充実しました。

今回の作例のゼロエアクリーナーは
ブローバイガス戻し無し/角度30/直径32ミリ用のジョイントだったのですが

本来はPC20キャブ向けだったので、
本当は若干きつめなのを無理にはめていたのです。
そのため使ってるとジョイントのゴムが半年ほどで劣化して裂けます。

※もともとゴムの質も悪いのでPC20に使っても裂けましたが。

今はPB系キャブ用に直径35ミリの物が出ています。
ストレートタイプですが問題なくPB16に使えます。
ブローバイガス対応モデルもあります。 画像のがそれ。
AB27以降のモンキーはこれを注文するといいでしょう。


環境対策前のフレームナンバーがZ50J-2XXXXXXの人は
ゼロエアクリのゴムチューブをCRF70用に交換して安心という手もあります



このCRF70チューブに関しては純正90CC編も読んでね。



今回の作例では右出しガソリンコックは社外品を使っていますが
エイプ用はモンキーのと同様ので右出しタイプです
16950-GEY-750


画像右のコックはジャズ用 16950-GS3-015
※つまみが部分が大きい。 100CC仕様には雰囲気的にこっちがいいね。
タイカブ100EXの純正キャブもカブ90と同型キャブだけどつまみが大きいからね。

左向きは12Vモンキー後期用 16950-065-922
下向き 6Vモンキー〜12V前期モンキー用 16950-163-035








究極純正流用100CC 12Vモンキーエンジン(仮)

えっ? 12Vモンキーエンジンの加工クランクケースでは納得がいかない?
ケースの加工もしてるし耐久性も不安ですって?

じゃあ12Vカブ90のクランクケースを利用した
究極の純正100CCモンキーエンジンを作ろう。


方法は2つある


ペガサス製の「強化ラー」を使う方法。
http://www.e-pegasus.jp/collar90.html


専用ベアリングに打ち換え、この「強化ラー」を入れることで
カブ90ケースのミッションの軸受けの寸法を12Vモンキーと同様にするもの。

「いとしのモンキー」のこのシーンのお悩みが解決するシロモノである。
(もちろんこの漫画の連載当時に強化ラーは存在しない)


手持ちの12Vモンキーのミッション一式をまったく組み替えずに
そのまま使いたい人はもちろん、

クロスミッションや社外5速ミッションなど
ミッションを特別な仕様で使いたい人は
強化ラー仕様にするしかない。



もう一つは「FIモンキーのメイン/カウンターシャフト」を使う方法
これが日本国内で入手可能な部品での
純正流用改造エンジンの最終形態「究極12Vモンキー100CCエンジン」だ!



FIモンキーのメイン/カウンターシャフト仕様で必要なものリスト
12Vカブ90のケースも末期のモデルでは少々の違いがあり、
この番号以外のクランクケースではブリーザーニップルが前向きな物があるので
「強化ラー仕様」も「シャフト交換仕様」もこの番号のクランクケースを購入すること。

中古のカブ90クランクケースを手に入れる場合は
エンジンナンバーがHA02E-16XXXXX以降のものを使うこと。



使う12Vモンキーエンジンの年式によって交換が必要なストッパーアーム一式。
12Vモンキー/ゴリラの中期〜後期型エンジンからミッション一式を取った場合、
ストッパーアームが上の物なんだけど、これはカブ90ケースでは干渉するので使えない。

もしも使うミッションのストッパーアームが上のものだった場合、
下の12Vモンキー前期方&FIモンキー用のこのストッパーアーム一式に変更すること。

ストッパーアーム 24430-GB4-772
ストッパーアームスプリング 24435-GF6-003

※このストッパーアーム関連について、あとで重要な解説がある。

すでにカブ系エンジンをいくつか分解したことがあり、
ガレージにジャンクパーツが転がっているような
とくに中級者以上の人こそ必ずよく読むこと。



12Vモンキー/ゴリラミッションの組み換え図
早い話がこれでFIモンキーのミッション本体とまったく同じになる。



シャフトを比較した画像。
それぞれ右側が12Vモンキー/ゴリラのシャフト。



本当にカブ90のクランクケースにミッションがおさまるの?
マニアのみんなで色々と検証しました。





注意点その1

FIモンキーのシャフトは12V/CD50・ベンリー50S・平成CL50と同じ部品番号の物だけども
シャフト取りのためだけにミッション一式を散り散りバラバラにするのも
もったいない話なので、シャフト2本は新品で買ったほうがいいと思うよ。

さらにCD50のミッションは6V/CDI時代からのも含めてシャフトとギアに細かい変更があり
よほどのマニアでもない限り、何がどう違うのか現物を並べてもなかなか把握できない。

例えばこの二つは部品番号も寸法も機能も同じメインシャフトなんだけど、
見ての通り細部の仕上げが違う。 右が今回新品で購入したもの。
品番変更無しのバージョンアップで互換性があるが、
こういうのが混乱のもとだ。 ホンダではよくあること。


もしも年式がはっきりしていない中古ミッションやシャフトのみを手に入れても
ここに掲載しているシャフトの画像のとこれまた細部が違うし、
いけるかどうか実際に組んでみて賭けるしかないね…となるだろう。

カブ系ミッションのシャフトは、同じ部品番号でも仕上げの細部違いがたくさんある。
年式だけではなく、作った時期や下請け工場の違いなどでもだ。

細部の仕上げ違いだけでもこうやって混乱してしまいやすいのに、
たまたま手に入れたのが実は部品番号が違う年式のだったりすると
もう完全にわけがわからなくなる。 これがホンダ地獄だ。

なので自分で手持ちの中古ベンリー系ミッション一式の年式がわかってるなら
シャフトとギアの部品番号と適合を確認できるので問題ないが、
素性のはっきりしない中古ミッション一式から取るのはトラブルのもとになるので
この改造記事はあくまでシャフト2つを新品で買うものとして書いております。

手持ちのジャンクCD50ミッションから部品を抜いて使いたいなという人は
そのへんを充分に注意すること。



注意点その2

『FIモンキーの中古ミッション一式手に入れて使ってもいいんだよね?』

いいんだけど、一つだけ注意点として、
FIモンキーのミッションをシフトドラムまわり含め一式まるごと手に入れても
FIモンキーのシフトドラムだけはFIケース専用のため使用できませぬ。

12Vキャブモンキーのシフトドラムへの交換が必要。
シフトフォーク左右は今付いているものが磨耗してなければ
FIモンキー用をそのまま使って良し。


FIモンキー用シフトドラムは寸法的には使って使えないこともないようなのだが
FI用はミッションのセンサーパーツが付くために切り欠きがある。
画像はFIドラムを普通のクランクケースにあてがってみたところ。

ここはゴム栓を付けるので、この切り欠きがあっても
オイルがここから漏れてしまうことは無いだろうけども、
シフトドラムはエンジンを全分解しないと交換できない部品である。

なので気分的にもきちんと12Vキャブモンキーのシフトドラムを使ったほうがいい。
シフトドラムを買う小銭を惜しんで何だか引っかかった気分のままでいるほうが損だ。


注意点その3

『FIモンキーのパーツリストだと12mmスラストワッシャーのところが
90451-GBJ-M30 ワッシャースペシャル12mm になってるんだけど何これ?』

『FIモンキーのミッションを全分解しようとしたらスラストワッシャーが取れないんだけど?
これじゃギアがばらけないよ どうなってんのこれ?』

右がCD50のスラストワッシャー12mm 今回シャフト交換仕様で買うものだ。

左が問題のスペシャルワッシャー12mm  よーく見るとD型の穴なのである。
検証のために新品で購入してみたが、どうやってシャフトの軸にはまるんだ?
ちょっと力を入れればパチンとはまる? 全然はまんないって!
無理してはめようとすればワッシャーは歪むしシャフトに傷が入りそうだ。

ワッシャーを加熱して熱膨張で広げてはめるのかな…よくわからぬ。
ホンダの製造工場ではミッション組み立てはどうやっているんでしょうね。

なぜホンダはFIモンキーのミッションでわざわざこんな物を作って
こんな事をしているのか理由はよくわからんが、
整備時にミッションがばらけないようにとの親切心なのか、
それともまた何かの改造防止の嫌がらせなのか。

ここは小ネタ1に掲載している4速ギアの上下と、3速〜4速間のスラストワッシャーを
キックスピンドルの所のワッシャーと取り違えて組み間違えてしまう人が多いので
ホンダはそのへん気を使ったつもりなんだろうか。



どうしてもFIモンキーのミッションの全分解整備が必要なら
他に傷を付けないようにこのワッシャーをもぎ取るしかない。

実際にFIモンキーミッションから問題のスペシャルワッシャーを除去してみた。

プライヤーや100円ショップの安ニッパーなどで
突起のある側をつまんでひん曲げれば取れるけど
工具の先端がギアやミッションに触れるといくら硬い鉄素材とはいえ
傷が付いてしまうので、保護テープを貼ったり厚紙などを挟むなどして
作業傷が付かないように充分すぎるほどに注意してやること。

高速回転する部分なので少しでも傷が入ると問題が発生する。
マイナスドライバーで無理やりこじり取るとかもちろんダメよ。

画像のこれぐらいの曲げ具合でスーッとワッシャーがシャフトから抜けた。


ミッション一式にヘタリや磨耗などが無く、そのまま組む分には
スペシャルワッシャーをCD50用に無理に交換する事は無いんだけど
これがあるからFIモンキーのミッションまるごとを使うのはちょっと嫌なのですよ。


注意点その4

『もしかしてCD50のミッションを持ってきて組めばOKじゃないの?』

できないこともない。

が、

今回はあくまで12Vモンキー/ゴリラのエンジンを改造する話なので
蛇足で混乱のもとなので詳しくは書きません。 なぜかと言うとだ

実はCD50は6Vのポイント時代から12Vの最終型まで
ミッションの構成部品の違いが非常に多いのである。


なので例えばCD50エンジンを作るにはミッションのみを入手する時は
元の車台番号か、最低でもエンジンナンバーがわからないと、
よほどの経験を積んだCD50マニアでもない限り
ゴロリとミッションだけある場合は鑑定は非常に難しい。


これらを説明するにはクランクケースのベアリングの系統と
ミッション系統の分類と互換の話から始めなきゃいけなくなる。
パーツリストの絵は実物と違うのでアテにはならない。

しかも一概にカブ90ケースにCD50ミッションが「そのまま組める」わけでもない
一応そのまま組める年式もある。 が、変遷が多いために一部の部品を交換をしないと
組めない年式もあるわけです。 CD50シリーズのミッションは互換性が意外とめんどくさい。

この大混乱ぶりを見るがいい。
6Vポイントの最終型から、6V/CDI時期、
12VのCD50-25〜あたりのパーツリストをザッとまとめてみた。

とくにメインシャフトの種類と、それに付属するディスタンスカラー、そして4速ギアの片側が問題。


6Vのポイント時代のCD50Z以前のミッションは6Vゴリラや4速ダックスに近いから別物だとか
このへん書いていけば本当にきりがない。 だから簡単には書けませぬ。


CDIクランクケースの年式のCD50エンジンは年式によって細かい違いがあったり
年式によって4速ギアの片方とスペーサーを交換する必要があったりなかったり
シャフトにこれまた細かい違いがあるんだかないんだかとか、
とてもじゃないが全て解説できないので、さらっと解説しよう。


例えばこのCD50ミッション後期型の4速ギアの話ひとつをとっても
左のはCD50シリーズ後期型のミッションのもので、(23471-GBZ-000)
スペーサーが不要なようにギアが凸型になっている。

右がスペーサーが必要なそれ以前の初期〜中期型のもので
12Vモンキーのと部品番号が同じ。 (23471-065-901)
左のギアのミッションだったら右のものに交換しなきゃ…という話とか、

他にも年式によってシャフトにスペーサーがあったりなかったり
このあたりを間違うと、カブ90ケースに組もうとすると
クランクケースがぴったり閉じなくなってしまうのです。

「4速MTミッションを組もうとしたけどケースが閉じない…カブ90ケースをベースに4速MT化は無理だ!」
と嘆いてた人が昔たまにいたんだけど、何のミッションを使うつもりだったのかわからないが
おそらくCD50のミッションだと思われるが、このへんを理解していなかったためだろう。


CD50系ミッションは他の構成ギアの一部の部品番号が12Vモンキーのとは違うのに
実質ギアの形も歯数も同じなんだけどいったいモンキーとCD50のギアで何が違うわけ?
素材? 焼きの入れ加減? 何かここに掘ってある潤滑用か何かの溝? とか。
(これは管理人も謎に思っている)

とかなんとかの話を全部を書くのは本当に大変で…
というかCD50のミッションの話だけでCD50ファンサイトのの項目が一つ作れてしまう。


なので、仮にCD50ミッションの部品を適合する物に組み替えてカブ90ケースに合うようにできても
元のミッションの年式と、どこの何を交換したかの詳細なメモを書類と一緒にでもしておかないと
いざミッションの整備や部品交換をしたくなっても、自分でも忘れちゃったという事になりかねない。
そんなエンジンが他の人の手に渡ったら、その人は整備したくても何がなんだかわからずにお手上げだ。


このあたりが問題で例えばカブ90にCD50ミッションを流用して、お手軽に
4速ロータリー遠心仕様カブ90にしたとかいうホームページやブログなんかが無かったわけです。
もしかしたらいるのかもしれないけど、おそらくこのへんの問題に気付き
まとめにくくてネタにできなかったのかも。
管理人だってネタにしにくいからここにこう書いたぐらいだし。


12Vモンキー/ゴリラはミッションの構成部品の部品番号にちょっとの違いがあっても
実は部品番号が統合されてたりして内容に実質的な変化が無いから話が簡単なのです。


参考までに一番わかりやすい12V/CD50の後期モデルと12Vモンキーのミッションを比較し
主要な部品と、どのギアが品番が共通なのかの図。
・青線が部品番号も共通なギア。
・緑線が部品番号と細部や打刻番号が違うが「機能や寸法は実質同じ」ギア。
・赤線が問題のCD50後期4速ギア。 このギアは12Vモンキーのと交換できる。

部品番号自体は色々と違っても、ギア比も寸法も実質同じである。
なのでこの年式の場合は4速ギアを一個だけ12VモンキーのものにしてしまえばOK。
この例ではCD50後期ミッションの4速ギアの赤線の一個だけを交換する事で
機能的にも実質の寸法的にもFIモンキーミッションと同様になるとはいえ、
CD50ミッションを使う以上、12Vモンキーのシフトドラム一式でリターン化したとしても
「モンキーエンジン改」ではなく あくまで「CD50エンジン改」みたいなもんで

機能と性能が同じだとしても、モンキー/ゴリラに搭載するエンジン内容としては
あまり気分の良いものではない。


この比較はあくまでCD50の後期モデルでの話であり、CD50のミッションはギアだけではなく
シャフトにもスペーサーが必要だったりいらなかったり、各パーツとの互換性があったり無かったり
ややこしいマイナーチェンジがあまりにも多く、他の年式のミッションはとてもじゃないが解説しきれない。


もしも年式不明の中古のCD50ミッション一式をどうしても使いたいのなら、
12Vモンキーミッション一式と並べて各ギアを確認してからじゃないと使うのは危険だろう。
また、ミッションを並べて比較する時は必ずギア一つ一つにしっかり目印を付けよう。
ギアの寸法自体は全く同じなため、うっかり混じってしまうと本当にわからなくなる。



CD50ミッションは、各年式ごとに物理的に互換性が無い場合と、
組み込めるんだけど実はモンキーのとは部品番号が違う…のだけども
実質同じ寸法だったりと、これがマニアの気分的に実に厄介。

「ある年式では使えない」「この年式では使えてしまう」「細部がちょっと違う」
「細部は違っても寸法は同じだけど、部品番号は違う」
「部品番号は違うけど全く見分けが付かない」という、

物理的にも気分的にも混乱を生じる要素を含んだ怖いミッションなのです。

もう一度言うけど中古でCD50ミッションを流用&補修目的で買う時は
よほどのマニアでもない限り、必ず元のエンジンナンバーだけでも確認しないと
色々と面倒な思いをする。

つまりどういう事か? CD50のミッションをナメるなよ。


カブ50/CD50エンジンにある程度の分解経験を持っている人なら
ここに書いたこれらの事は色々とピンとくるはず。

…充分詳しくて全然さらっとじゃねえじゃねーかって?
いえ、さらっとでございます。 3割ぐらいしか解説できてない。
CD50ミッションは本当に互換性がややこしいのです。



で、


今回の究極純正100CCエンジンだが
もうここまでやってしまうと

クラッチケース一式 ジェネレーター一式 ミッションギア一式
あとはチェンジアームとか細かい部品だけが
12Vモンキーのベースエンジンから使ったパーツになり、

ほぼエンジンの8割近い部品を交換したことになる。


ここまでやるなら、いっそノーマルエンジンは降ろしてそのまま保管して
クラッチケース一式 ジェネレーター一式 ミッションギア一式を中古か新品で入手し
細かい部品を買いそろえ、まるっきり新規に
究極純正100CCエンジンを組んでしまったほうがいいと思う。



ストッパースプリングの話

必要なものリストの、このストッパーアームの画像を見て、
『このストッパーアームなら以前分解したカブ50エンジンに付いてたから使おう』
と思った人が何人かいると思うが、ちょっとお待ちを。

1-N-2-3-4のようなリターン式ミッション用スプリングと違い、
カブやCD50などの遠心式やMTでもN-1-2-3-4のようなミッションは
大きくストッパーアームが上下するのと、構造上ギア飛びしにくい構造なので
カブなんかの物は、ここのスプリングが柔らかいものなのだ。

リターン式ミッションでは12Vモンキーの硬いスプリングにする必要がありまする。



※蛇足知識だが、ジャズなんかは直のペダルではなく、
リンク式のギアチェンジの機構からMTの1-N-2-3-4のリターン式でも
ミッション関係の各部のスプリングが柔らかい箇所がある。

そのためジャズのエンジンをベースにカウンターシャフトを交換するなどして
12Vモンキーエンジン化する時なんかには注意。



カブ90ケースを使う場合に不要になる12Vモンキー後期用のストッパーアームのスプリングは
モノの違いの比較用にわかりやすいので、一例としてこれで解説する。
左が12Vモンキー用(MT4速リターン) 右がCRF70用(遠心3速)
スプリングの太さが全然違うのがわかる。



もしも例えばジャンクのカブエンジンからストッパーアームを取って使うなら
必ずスプリングは12Vモンキー用の硬いスプリングにしなければなりませぬ。

カブに限らず他の車種のエンジンから取る時も注意。
気になる人は部品取りエンジンのスプリングの部品番号を調べてみよう。


この事を知らずに「カブエンジンから取ったのがあるから」と、
ストッパーアームのスプリングを交換せずにリターン式ミッションに組んでしまうと
モニャモニャした感じのカッチリしないつま先の手ごたえになり、

ニュートラルにはカチッと入れにくく毎回毎回イライラしたり
走行中にギア飛びギア抜けが起きやすくなる。


逆に例えばカブの遠心ミッションでモンキーの硬いスプリングを入れてしまうと
ギアチェンジがガチンガチンとやたらと硬い感じになってしまうのです。

このストッパースプリングの違いは6Vポイントエンジンでも同じ。
遠心3速モンキーエンジンと6Vゴリラエンジンのニコイチレストアで
知らずにやってしまっている人がいると思う。



で、



今回の作業とは直接関係は無いが大事な注意点を。


部品取りエンジンからの移植の時に注意する事の一つとして
チェンジアームのスプリングにも同様に硬さの違いがあるという事を覚えておこう。
例えば「CD90をリターン化したんだけど、どうもギア飛びしてしまう」
という相談があったんだけど、CD90のスプリングはモンキーのと品番が違って
柔らかいタイプなので、交換したら直ったということがあった。

ということで、エンジン内のスプリングは見た目同じに見えて違うものが多い。
クラッチスプリングやバルブスプリングなども同様だ。 しかも同じ車種なのに
年式によってある時期からバネの硬さの設定が変わったりすることがある。

もしもジャンクエンジンパーツ箱からスプリングを再利用する時は
もとのエンジンの年式の素性がわかってるならチェックできるからいいけど
もはやスプリングの正体が何がなんだかわからない場合は
サイズが合っても使わずに新品を購入するほうが安全である。


普通の人はエンジンのジャンクなんて転がってても一基ぶんだから
クランクケースが残ってれば正体がわかるけど、

管理人みたいにいくつも部品取りジャンクエンジンを分解し
どうせ使わないだろうなとひとまとめになんでもかんでも
ジャンク部品箱に細かいものをぶちこむと、いざ必要になったときに
例えば山のようにクラッチスプリングがいろいろあっても、

ただでさえ50CCだけでも車種年式によってバネの設定が変わってることがあるのに
さらに70CC用90CC用 遠心クラッチ用マニュアルクラッチ用 ノーマルクラッチ、ダックス70クラッチとか
ダンパースプリングとかいろいろ混ざってしまったらもう見分けることなんでできない。

結局新品を買うハメになってしまう。
でもいつ使うかもわからない部品の整理めんどくさいし…。


スプリングの素材や硬さ違いがあったとしても
新品袋入りと並べて比較したって違いなんかほとんどわからないしね。
要するにスプリングを甘くみちゃだめですよってことです。
とくにバルブスプリングなんて重要だからね。 上下の向きもね。


例えばバルブスプリングはたいてい上下の目印にホンダがペンキを付けてて
ペンキのほうが上向きになるように装着するんだけど、
ペンキが落ちてしまっている場合は、バネの巻きが広いほうが上になる。


クラッチスプリングなんかも上下がある場合があるし、ない場合もある。


エンジンに限らずスプリングは上下の区別があるかどうか必ず確認しよう。
分解前に目印が付けらものなら目印を付け、
分解時にスプリングがバラけなかった場合は、
なるべくすぐに脱脂してマジックなどで上下の目印を付け、

例えそれが上下の区別の無いスプリングだとしても、
元の向きの通りに戻せるようにしよう。 無用なトラブルを防げる。



ここ読んだ初心者の君はスプリングの向きがわからなくならないように
注意と対策ができるようになったね? 硬さの重要性と怖さがわかったね?
君の整備レベルがまた一つ上がった。 m9(`・ω・´)




このへんはとくに中級者が陥りやすい。 管理人もそうだった。

しかもこういう大事な基本的な重要な知識が
(例えばこのバルブスプリングの上下の話ひとつをとっても)
全ての車種/年式のサービスマニュアルに載っているわけでもないのだ…。




さらに究極100CCの上があるのか? 実はないこともない。

日本仕様のタイカブ100EXは東南アジア仕様よりややデチューンされていて
現地仕様の純正タイカブピストンなどを使えばちょびっとハイコンプだったり
カムなども少し違ってて、手に入ればもうちょっと凄くなるかもしれないが、

東南アジアのバイクの輸入販売を扱っている店じゃないと
たとえ純正でも海外ホンダの部品は買えない。

今回の作例はあくまで日本国内での最強仕様である
さらなる上を目指す人は現地のタイカブを調べてみよう。

「ナイスやウェイブのエンジンやパーツを流用すればさらに排気量も大きいし…これこそ究極では?」
しかしナイスやウェイブなどのエンジンパーツも普通のバイク屋では買えない。
この原付板はあくまでここを見た誰もが気軽に近所のバイク屋で部品を購入できて、
作例をそのままマネできるのがルールである。  だから仮にやれたとしてもやらない。


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