6V後期モンキー/ゴリラを純正70CCにする(仮)

おや?今回は原付板としては珍しくオイルクーラーなんか付けちゃってるね。
モンキーRフィン付きカムカバーとか社外品のタペットキャップなんかも付けてるね。

飾りではなくきちんと意味があるのです。




この改造は「6Vモンキー/ゴリラ」でも以下の年式にのみ該当します。

外装を交換されたり再塗装されてなければこの色。
フレーム番号がZ50J-16XXXXX〜18XXXXXまでの6Vポイント点火式モンキー/ゴリラ。
エンジンが載せ換えられている中古も多いため、エンジンナンバーも見る。
エンジンナンバーがZ50JE-16XXXXXからZ50JE-18XXXXXまで。


この年式は「Gクランクシャフト」のエンジン。

Gクランクシャフトとは、Lクランクシャフトのジェネレーター一式が使えて
コンロッドのストローク量は12VモンキーのRクランクシャフトと同様という物。

「6Vエンジンだけどもボアアップキットは12Vモンキー用を使う」という年式なのだ。
それ以外は基本的に6Vエンジンのままなのでオイルポンプは6V用を買う。

6V後期型は進化途中のちょっとややこしい年式なのだ。


…初めての人は頭が混乱してきたかな?
しかし気にしなくていい。 管理人の今回と同じ改造をするだけなら
何も考えずに書かれたエンジンパーツを買えばよろしい。



12Vのカブ70のシリンダー、ピストン、シリンダーヘッド一式、ガスケット一式を用意すれば
2014年現在で6V後期は純正70CC化が可能である。



6V後期純正流用ボアアップではクランクシャフトの都合上、70CCまでにしかできない。
Gクランクシャフトを採用された別車種と70CCモデルは少なくとも国内には存在しない。

なので50CC用クランクのままで70CCにするので優しく乗るべし。
といっても普通に乗っているぶんにはまず壊れない。
社外品の88CCとか組まれた時のクランクシャフトの負担に比べりゃ何でもない事だ。

それでは必要なものリストだ。





・キタコ スーパーオイルポンプ6Vモンキー用  331-1013300(キタコの部品番号)
性能的には12Vのカブ70/90なんかに多く使われているものとほぼ同じ。


・何かオイルクーラー
画像のはキタコのモンキー用オイルクーラーキット

え? 何で具体的なオイルクーラーを指示しないのかって?
作例じゃこれを付けてるのに? このキタコのじゃダメなのって?
理由は読んでいけばわかる。



オイルポンプの性能差とオリフィスの話は100CC編などを参照。
難しく考えず管理人の作例通りマネしたいって人はこの通りに買えばよし。






組み立てにあたっては今回はクランクシャフトの交換が無く
腰上とクラッチカバーを外しての作業だけなので、フロントホイールを外せば
エンジンは搭載したままでも改造作業はできる。

今回はクランクシャフトは交換しないので、ケースのセンター割りは必要ないけども
腰上とクラッチを同時に分解したらクランクケースのセンター割りの作業まですぐなので
どうせならエンジンを降ろし、全分解しなければ交換できない
オイルポンプギアも交換したほうが良い。



今回の改造には必ずしも必要ではないが、ついでにやるとなお良いのが
モンキー/ゴリラの6Vは「マニュアルテンショナー」なので、カムチェーンの張り具合の調整は難しいもの。

ヘタにいじくるとガチャガチャ異音がしたり、張りすぎで回らないエンジンになる。

12Vの「オートテンショナー」に交換してバージョンアップする事で
カムチェーンの張り具合が自動的に適正になるのだ。
このバージョンアップ改造は4Lモンキー/6V前期モンキー/ゴリラやノーマル50その他車種でもオススメ。
この交換作業は14ミリと10ミリメガネレンチと、マイナスドライバーだけで可能。

マニュアルテンショナーのプッシュロッドはテンショナーボルトを外せば普通はストンと落ちてくるが、
引っかかってどうにも出てこない時はフライホイールとジェネレーターベースを外して
内側から指で押す必要がある。 もしくは掃除機で吸ってみる。
決してマイナスドライバーでぐりぐりしてはいけないよ。

マニュアルテンショナーロッドを外すと中から
細長いスプリングが2個がロッドの中から出てくる。



【キャブレターは毎度おなじみ12V/CD90のPB16だが…?】

2014年現在、ついに12VのCD90キャブの純正新品が
入手できなくなってしまった。

純正流用ボアアップカスタムの改造の主役なのになんてこった…。
もしかしたら製造の都合での一時的な事なのかもしれないが。
完全に絶版を意味するゴソウダンではなく、よくわからん表示になるのだ。
※このあたりの文章は状況が変わったら書き直します。


なので、今回はこれからの12V/CD90のPB16の
代用品の定番となるであろうエイプ100のPB16キャブレターを使う。


ジェット類はCD90のPB16と同じで、その他基本性能は同じだが、
CD90のキャブと何が違うかというと、

・チョークレバーが車体右側になる。

・ガソリンの供給が尻からの構造のため、
AB27モンキーのキャブ下半分を使っての小尻化ができない。

・マニとの固定がスタッドボルト式だけどスタッドボルトを外せば使用可能。
(四角いナットはハメ殺しでは無いので交換も可能)

・ジェット類はCD90のPB16キャブと共通。

・キャブトップをモンキーのPAキャブのものにする必要がある。

※これはCD90用PB16でも交換したほうが良い。
CD90のはケーブル角度が45度だがモンキー用は30度のため、
色々と狭いモンキーではこのほうがフレームに干渉しにくいためだ。


チョークが車体右側になってしまうが
実際に取り付けると、社外マニホールドなのでキャブが車体左側に寄るので
純正タイプの社外アップマフラーでも操作は思った以上にやりやすい。

画像ではクラッチケーブルが操作のジャマに見えるけど、実際はそんでもない。


しかしマフラープロテクターを使わないエキマニむきだしタイプの社外マフラーでは
熱い時にうっかり手をヤケドしてしまわないように要注意だ。




【今回のおすすめマフラーは】

原付板名物のクリッピングポイントのノーマル風ステンレスマフラーはとうに絶版。

すごく売れてたんだけど、今の世間の風潮として
あまりに爆音すぎるマフラーの販売は差し控えたいとの事だそうです…。
たしかに凄い爆音だったけど品のある重低音の響くいい音でねえ…。


今はタイプSSというマフラーがクリッピングポイントより販売中。
お値段だいたい3万円。

2ピース構造なので「車体の製造誤差で取り付けがうまくできない!」
という事が無いので安心でございます。


管理人の使ってみた感想は、まさに
「モンキーの純正マフラーの70CC用があったらこんな感じだろう」
という社外マフラーとしては静かな部類で、
むしろエアクリの吸気音のほうが2倍やかましい。

50CCに付けると、ノーマルマフラーよりすこし頼もしい音になる程度で
これまた静かだが、50CCに付けても走行性能に変化は無い。

走行性能と静かさを見れば「12V腰上の純正70CC仕様」には
こっちのタイプSSマフラーのほうがエンジンにマッチした性能である。

唯一の欠点として、2ピースにした設計の都合上
マフラープロテクターの前のステーをもぎ取らなければいけない。

一応はステーは付けっぱなしでも付けられるけどね。


取り付けの注意点としては2ピース構造なので、
マフラーと車体をできるだけなじませて取り付けする事。

きちんとなじませないとエンジンの特定の回転域でプロテクターが共振を起こして
シャララーンと鳴いてしまうので、ヘッド側、本体側、マフラープロテクターそれぞれを
少しづつ均等に締め付けていき、何度か走って様子を見よう。


マフラーと車体の個体差と相性もあり
完全に振動を消す事は少し難しい場合があるが、

このマフラーに限らず、共振を放置しておくとマフラー本体のステーに
金属疲労が蓄積してステーが割れてしまう可能性があるので、
共振はできるだけ発生しないように努力しよう。

どうにも改善しないならプロテクターの内側に
M6ワッシャーを何枚か入れるとかの工夫をしてもいい。

全てがバッチリ決まったら、本体とエキパイの継ぎ目に
マフラー用アルミテープを巻いて排気漏れを防ぐとなお良し。

マフラープロテクターは先端をもぎ取ってしまうからどうしても傷物になるわけで
プロテクターはもうこのタイプSSマフラー専用となった運命が決まった以上、
共振しないようにプロテクター全体をじんわり曲げて調整をするのは
みんなの気分的にも、そういうのに厳しい管理人的にも良し。

このマフラーに新品のマフラープロテクターを使うのはもったいないね。
すでに付いている錆び傷だらけのモノを使おう。

共振の調整には純正マフラープロテクターガスケットを
2枚重ねて入れるなどを試してみるのも良し。




【マフラー関連で他に注意すること】

実際に走行実験をしてわかったことだが
純正70CCではノーマルマフラーを付ける事は可能だけども
抜けが足りずに充分な走行性能が発揮できない上、
排熱の効率が悪く、ヘッドが必要以上に加熱してしまう。

6Vの前期マフラー 6V前期マフラーと同性能の
フィンランドモンキーマフラーでもダメ。




【今回はオイルクーラーが必要】

オイルポンプのそれぞれの性能比較の説明は長くなるので省略するが、

今回のキタコの強化オイルポンプは12Vのカブ70/90のオイルポンプと
ほぼ同じぐらいの性能である。 むしろちょびっと上。


さすがに6Vの50CC用オイルポンプでは性能が全く足りない。

12Vモンキーエンジンをベースに純正70CC仕様にするには
12Vの70CC編を見ての通りに余計な冷却装置は何もいらないが、

6Vポイントのクランクケースはオリフィスが0.6ミリのため、強化オイルポンプを付けても
オリフィスの小ささはやはり影響が出ているようで特にシリンダーヘッドが加熱気味。



エンジンの熱源はシリンダーヘッドなわけで、一番最初に熱くなる所だ。


クランクケース側のオイルはテスト走行の10分程度では
そんなには熱くはならなかったが
ヘッドが10分も走ればすぐに熱過ぎになってしまう。


そうなると結局すぐにエンジン全体が熱くなるわけで
たぶん30分も全開で走ればキンキンになるだろう。
オーバーヒートですめばいいが、最悪の場合は焼きついてしまう。

過去の改造の経験上それがわかっている管理人は
走行テストをそこで一度切り上げ、今回はオイルクーラーを付ける決断をした。


ヘッドが加熱気味ってのはどうやったらわかったかって?
何か特別な道具でも使ったのかって?  そんな事はありませぬ。


まず簡単な方法として、ノーマルエンジンで普通に走ってきたあとのエンジンの
各部に水を少したらしてみてジュワーブクブクとなる様子を見て、
どういう風に水が蒸発していくか覚える。  少し汚いけどツバでもいい。
だいたいカブ系のノーマルエンジンなら50CCでも90CCでも熱の具合にあまり差は無い。

チリチリと水が玉になって弾け踊るようであればそこは熱すぎだ。
シリンダーよりもヘッドでのほうが激しく踊ったのだ。


カブ50も70も90もモンキーも、カブ系ノーマルエンジンの基本温度はほぼ変わらない。
当たり前だけどそうなるように設計しているからだ。



12Vクランクケースと同様にオリフィスを0.8ミリに拡大すれば
この熱問題は解決するとは思うが
程度の悪い傷だらけの6Vクランクケースを拡大加工するのならまだしも、
美品の6Vクランクケースは貴重品だし、新品で買えないもの。

元に戻せない加工は極力やらないという方針の
原付板としてはオリフィスの拡大はやりたくない事である。



作例ではキタコのオイルクーラーを使用。 昔からの定番商品だ。
2005年ごろに買ったものなので今買える物は細部がちょっと違うかも。
6V前期〜12V最終型まで取り付け可能。

充分に今回の作例の熱問題をカバーできた。


しかしこのキタコのオイルクーラーは取り付け方法の構造から
フレーム年式によってはハーネスクリップがここに溶接されているものがあり
ハーネスクリップを切断しなければならないものがある。
12Vモンキーの中期あたりからこうなっている。

フレームの前側(画像では左)の穴に
専用のウェルナットをねじこみ固定めねじを作る構造。
昔のフレームではこの問題は無かった。 これはホンダが悪い。
かといってフレームのクリップをもぎ取るなんて
そんな恐ろしい事が許されるわけがない。


なのでキタコのオイルクーラーが付けられないフレームの人はけっこういる。
買う前に自分のフレームを見てみよう。

このタイプのフレームで、もぎ取るとかは嫌というこだわり派の人は
他の自分の好みのオイルクーラーを付けると良いでしょう。
あんまり大きいものじゃなくても充分です。


管理人は主に一回で乗る時間は長くても一時間程度で
近所をチョロチョロと走るだけなので油温が上がりすぎる事はないが

この仕様でブン回して長距離を走る人は一応油温計を付けてもいいね。



それにしてもダックス70のような6Vの純正70CCの腰上では
6Vの50CC用オイルポンプと厚みが0.5ミリしか違わない性能のダックス70用オイルポンプで
なぜ冷却が足りているのは謎である。 ※ダックス70純正オイルポンプは絶版。
そもそもこの0.5ミリの差でそんなに違いが出たのかのも疑問。




走行性能は12V70CC仕様とさほど差は無い。





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