ライダーコミックって?


ライダーコミックとは富士美出版(辰巳出版)から
かつて毎月28日に発売していたバイク雑誌

1986年6月号創刊〜1995年10月号で休刊


創刊時はバイク漫画専門雑誌だった
というよりほとんど暴走族&ヤンキー漫画専門雑誌だった


おそらくヤングキング(少年画報社/87年創刊〜今もある)
のような感じの雑誌を作りたかったのだろう

管理人の手持ちの分で確認できる限り
創刊4号目の時点で漫画を3本のみに絞って
「漫画のみで雑誌を作る」のはすぐにあきらめたと思われる


そのために創刊時の漫画の多くは3話で打ち切りに…



というわけで、創刊早々路線変更したライダーコミックは
漫画数本と暴走族の記事を中心とした暴走族雑誌となる

といっても暴走族グループの紹介や武勇伝などはあまり取り上げず
あくまで乗り物が記事の主役で、暴走族仕様の紹介&解説と
わりとマジメなメカいじりの知識を中心とした誌面である



当時は各出版社から暴走族雑誌が色々と出ていたが
ティーンズロード(休刊)とチャンプロード(一応まだある)で
一時期はバイク系三大暴走族雑誌のひとつだった
ティーンズロードとチャンプロードは
暴走族グループの紹介や武勇伝、乗り物自慢をメインにしていたが
ライダーコミックは「技術系暴走族雑誌」とでも言えばいいだろうか?

ちょっとバイクや自動車いじりをかじったことのある人なら、
暴走族雑誌の皮をかぶった本気のバイクいじり雑誌であることがわかるだろう

暴走族仕様への改造記事といっても、既製品の族仕様パーツを付けて完成ではなく
材料を集めて1から自作して改造するのが基本であり、
創意工夫して実際に手を動かす事の大切さと面白さを教えてくれる


現役暴走族はヤンキー雑誌として楽しめるし、普通の人は暴走族を笑って楽しめる
バイクも暴走族も何もわからない人でも、とりあえず連載漫画を読むと楽しい

メカいじりの記事も専門用語はなるべく使わずに、
わかりやすい文章とたくさんのイラストと楽しい解説漫画で、バイクの初心者から
主な購買層のちょっと頭がアレな連中でも理解しやすく書いてあり

「専門的な事まではわからなくていいからこんな感じだということを覚えておこう」
という感じで、写真と文章よりもなるべくイラストとマンガを多用し
文章をロクに読まない(読めない)人も楽しく理解でき、何度も読み直したくなる

といっても全てが子供だましな内容というわけでもなく
エンジン分解などの専門的整備や知識などもわかりやすく解説してたりと

見た目はどこからどう見ても暴走族の雑誌だが
「一般的なバイク雑誌」としても充分すぎるほどの水準を満たした内容で
暴走族からバイクマニアまで、バイクが好きなら誰が読んでも納得の面白さ

色々とエキサイティングな読者コーナーに読者投稿写真などなど
平均200ページ前後で広告ページも少なく内容の密度も濃く
表紙から最後までボリュームたっぷり読み応え充分の大満足

現代の本屋に並ぶ毒にも薬にもならない薄っぺらい内容と広告ばかりの
どんなバイク雑誌よりも「バイク雑誌」していた



ちなみに竹書房から「投稿ライダー」という
タイトルロゴがそっくりすぎる暴走族雑誌が出たが
あまり評判は良くなかったようで、すぐに廃刊になったようだ
いくらなんでも似すぎじゃないか

「ライダーコミックは投稿ライダーとは一切関係がありません」
のようなことが編集後記に書かれたこともあり
間違いや問い合わせなどで色々と迷惑していた様子が伺える
確かにどう見ても増刊か姉妹紙にしか見えない
これでわざとじゃないなら竹書房は一体何を考えていたんだ

当時を知る人の話を聞くと、
投稿ライダーは純粋につまらなくて長続きしなかったようである


当時は暴走族やヤンキーなんて掃いて捨てるほど
どこにでもウジャウジャいてネタには困らないはずなのに
存在そのものが面白い暴走族でつまらない雑誌を作るほうが
逆に難しいと思うのだが、どれほどひどいのか読んでみたいものだ

持っている人がいたら譲ってください



91年の半ばぐらいから徐々に暴走族路線をやめ健全化
ほとんどが2サイクル原付スクーター、2サイクルスポーツ原付、
モンキーの改造ネタがメインの雑誌になった
他にたまに400CCをちょっとやる程度

健全化といっても暴走族の要素は確かにほとんど無くなったが
原付の制限速度規制に上等をぶちかます改造ネタがたっぷりの
原チャリ小僧御用達のバイク雑誌になりました

いったい何人の読者が免停になったり人生が狂ったり
道路脇の花束になったのだろうか?

歯に衣着せぬ容赦無いパーツレビューも痛快


サーキット最速のモトチャンプ
峠最速のバリバリマシン
直線最速のライダーコミック

こんな感じで原チャリ小僧愛読三大雑誌といった感じに



だが1995年10月号(114号)でライダーコミックは事実上の休刊
ややマンネリ気味ではあったもののつまらないわけではなく
最後まで内容は充実していたし売れ行きも悪くなかったようだが・・・
このへんは何か大人の事情があったのかもしれない


半年ほど前から雑誌リニューアルの告知を出していて、


11月号から RT ライダーチューニングと誌名を変え
本のサイズもひとまわり大きくなり(号数カウントは続行 115号)
意気込み満々で内容を全面リニューアル・・・したが大失敗

創刊時からのメインテーマであり、売りであった「連載漫画」は全く無しに

いろいろと白熱していた読者コーナーも香ばしさがゼロに

今まではどうやって低予算で60キロの壁を突破するか?の
ちょっとアングラ気味の裏ワザの本を読むような楽しさで、面白い漫画も付いてた

しかしRTでは記事にちょっとした解説ミニ漫画を付ける程度になり

メイン記事のバイクネタも日常メンテや洗車ネタ、消耗品の交換、
バイク用品店で売ってる物のレビューのふりした宣伝に
カスタムパーツショップへのインタビューや、サーキットでの草レースの結果など
一部の人達以外にとっては本当にどうでもいい話ばかりで、

これといって読むところが無いただのそこらの
健全で面白みの無いバイク雑誌になってしまった


どちらかというと記事の多くが中型/大型バイクの話がメインになったので

今までの主な読者層は普通免許か原付免許しか持ってないような
ヤンキーか学生か貧乏人ばかりだから、他に免許取得が必要で
原付に比べて維持費もかかるし、大掛かりな改造なんて敷居が高すぎるし
改造するにもせいぜい細部のドレスアップ以外に特にいじりようのない
大きいバイクの話ばかりをいきなりされても面白いわけがない

末期の頃にはやや慌てた感じで原付改造の話をやりだしたが、時すでに遅し


今まではカスタムパーツやケミカル類のレビューは本当に辛口で
気に入らない物は遠慮なくズバズバ斬りまくり悪口言いまくり
書かれるパーツの感想は良くも悪くも本音そのもの

まさに読者の立場と目線で体を張って本を作っていて、
それがまた面白いところだったのだが

RTでは露骨にメーカーと広告主を意識した
当たり障りの無い内容のただの提灯記事になり

何が一番ダメかって雑誌のページ数が大幅に減ったのに
本全体の7割強が広告ページになったという
それはそれは酷いとんでもない紙クズ雑誌に!

RTになってカラーページが大幅に増えただと?
広告ばかりをフルカラーにしてどうする!

ミニ漫画も記事そのものもほとんどメーカーとショップの宣伝みたいなもので…
何がしたかったんだほんとに 記事より広告のページが多い

もはやバイク雑誌に広告が載っているのではなく、
広告雑誌にバイクの話が載っているような状態


そんな商業主義に魂を売り渡したRTは一年もたず予告も無しに突然の休刊
ライダーコミックの歴史は約10年で終わった (96年6月号で休刊した説があり)

きっと対象年齢をやや引き上げた本格正統派バイク雑誌にしたかったのだろう
それならば全く別のバイク雑誌として新創刊するべきだったと思う


(イラスト SODA-POP-IWASAKI)
※現在Gワークスでイラストのお仕事をしています


なぜライダーコミックがやりたい放題の自由ができたかというと
カスタムパーツメーカーからのパーツ提供によるタイアップ記事などはほとんど無く
改造記事に必要な物は編集部の予算か編集部員の自腹で購入していたのだろう

さらに雑誌の生命線である大口長期契約広告主にカスタムパーツメーカーからの直の広告がほぼ無く、
メインの広告主は特攻服屋・カスタムパーツ総合通販業者・ポケバイの通販・合宿免許・恋人紹介、
ダイヤルQ2・怪しい開運グッズ・背が伸びる・筋肉強化・視力回復・おちんちんの強化手術であり

他のバイク雑誌と違って日本の4大バイクメーカーの広告すら一切無いので、
バイクの記事を書くのに怖いものも遠慮するものも無かったからである



ライダーコミックはバイク雑誌の一つの完成形と言えただろう
およそバイク雑誌としてやれることは全てやった感がある

しかし、あまりにも完成されすぎていて
それ以上の進化のしようが無かったと思われる

もしかしたらマンネリからの脱却を目指したのかもしれないが、結果的に
RTでは今までのライダーコミックの良い所だけを全部捨ててしまうという
とても愚かで誤った判断をしてしまった

・・・などとRTの悪口を書くと長くなるのでこのへんにしておきましょう

(ビッグホンおズさんとジュニア)


RTが休刊した時期の96年ごろには、それまで若者に見向きもされなかった
CD50やスーパーカブなどのいわゆるおっさん50CCを速くチューンしたり
ミリタリー風やカフェレーサー風などにオシャレにカスタムするのが流行りはじめ、

それに影響されたメーカーが公式でビジネスモデルベースの若者向け派生車種を出したり
(ホンダはリトルカブやベンリー50Sなど、スズキはコレダスポーツなど、ヤマハはYB-1など)

さらには98年にホンダゴリラが再販され、
98年ごろから2004年ぐらいまで空前のホンダモンキーブームが起きたのだった
(この頃はモンキーをはじめカブ系エンジンバイクが本当によく売れたんです)

ライダーコミックがマンネリながらも今までの雑誌スタイルを守り
少なくともあと2年は持ちこたえれば、雑誌の人気は盛り返すどころか
大盛り上がりしたのかもしれない

ライダーコミックはビジネス原付チューンネタは全くやってなかったので
もしもライダーコミックがカブやベンリーのカスタムネタをやっていたら
モトチャンプなど、他のどのライバル誌よりも面白い内容の雑誌が出来た事だろう

開拓できる新ネタは充分にあったはずなのと、
リニューアル失敗が重なったのは実に皮肉で残念な話である



ライダーコミックを読む方法は?

残念ながらとても入手困難な古本を探すしかありません

出版社にも国立国会図書館にも保管・蔵書されていません
国会図書館も万能ではないのです
なんでもかんでも揃っているわけではありません


チャンプロードは一部増刊を除く創刊号からほぼ全て、ティーンズロードは
完全ではないものの国会図書館に蔵書されているのだが

ライダーコミックは出版社どころか国会図書館にも
かつてのライダーコミックの編集スタッフが少し残っている
自動車雑誌Gワークスの編集部にも一冊も保管されていないという
「失われた雑誌」であり、古本を見つけ出す以外に読む方法は一切無い


オークションや古本屋で探せというのは無理がある
現存数が少なく、二つ折りホチキス2箇所留めなので表紙がすぐ取れてしまい
とても傷みやすい雑誌なので、この手の古い雑誌は
一般的な古本屋どころかマニアックな古書専門店でも並ぶことはまず無い



創刊号から最終号まで
きっちり揃えている人が地球上にいるだろうか?
全て一冊づつでも現存しているのだろうか?

※創刊号から連載を持っていた漫画家の鈴木ヒロユキ氏でさえ
今はほとんど持っていないとの事です


ライダーコミックにもストーリーものの連載漫画や
解説ミニ漫画などがいろいろ掲載されていたが
初期の一部の作品を除きほとんどが単行本化されていない


(イラスト TOCHIBORI)


このサイトではライダーコミックの顔とも言える
「BIG HONおズさんシリーズ」

本誌でのモンキーの改造企画と連動した
「製作物語いとしのモンキー」

毎月読者の改造体験を漫画にする
カルト的な人気のあった「俺は改造魔!」

その他のいくつかの連載漫画の一部を
色々と問題はあると思いますが
当時の本当に貴重な資料として公開します



時が経つほどライダーコミックの入手は難しくなり
読んでみたくても古いものはもはや入手は不可能に近く、
誰もがいつでもお金を出せば簡単に手に入れられるような物ではない


特に「俺は改造魔!」は、漫画の性質上
何らかの形で再び公式に日の目を見ることは永久に無いだろう

だがメンテ漫画としても漫画作品としても
バイクがわからない人でも楽しめる
完成された再評価されるべき傑作である

読んでみたくても、読む方法が全く無いので
後世に伝えるべき名作が時の流れとともに
闇へと消えていくのは大きな損失だ


作者を探しています


作者の方はもしここを見ていたら連絡をください
事後承諾になりますが掲載許可を頂きたいと思います
もしくは削除いたします


西村広光氏、石神ただし氏の最近の漫画やイラストのお仕事を見たとか、
知り合いやお友達の方、近況や連絡先を知っている人は管理人にお知らせください

ライダーコミックに関わっていたことのある人は
ぜひお話をお聞かせください



(変態コンビ 先輩 おズさん)





その他ちょっとした資料


クレイジートレイン 江野あきら
90年10月号〜92年7月号まで

青年誌などで活躍し、今は月刊サンデージェネックスで
「ジャジャ」を連載中のえのあきら氏の幻の連載作品です
一応暴走族漫画だがどちらかというとラブコメの話が多い
単行本化はされていないようです

えのあきら氏は現役の漫画家だし、これは普通の連載漫画だったので
いつの日かまた読める日が来るかもしれません

ジャジャを読む人が増えるといつの日か短編集とかで出るかも?



かっ飛びロック 朝倉ゆずる
創刊号〜?まで 全2巻 絶版
創刊時は巻頭カラーで、看板漫画だったようだ

単行本には未収録の第一話トビラ絵

単行本では白黒のカラーページ



爆走 紅伝説 朝倉ゆずる
88年?〜91年5月号 全4巻 絶版

内容につながりは無いが世界観を共有していて
雑誌掲載時では「かっ飛びロック」の第二部扱いだった

かっ飛びロックの主人公も数コマだけ出演する



マスコットキャラ



サービスライダーマン




元ライダーコミック編集部員くま氏に聞く裏話
姉妹誌オートワークスとライダーコミックを編集していた。
(上のサービスライダーマンの人ではありません)

主に91年〜95年の間にAR50・CB50・JOGのコーナーを担当していて
別冊の「いとしのモンキー」掲載のGAGはいまも自宅にあるとのこと。
現在も編集マンとして活躍中。

今回は、くま氏がかつて自分が手がけたライダーコミックを
また読みたいとのことで管理人に連絡が来たのです。

連載していた漫画家さんも元編集部の人も
ライダーコミック本誌を持っていないのだ。
まったくなんて入手困難なんだライダーコミック!

せっかくなので気になることを聞いてみよう。




「なぜライダーコミックは91年ごろに暴走族路線をやめたのですか?」


暴走族路線をやめたというか、投稿が減ってきたんですね。
人間路線だと「ティーンズロード(ミリオン出版)」の方が人気ありましたし、
それと族の人たちもやっていることは暴走族なんだけど、
乗っているのはゼファーとかCBXとかシンプルな改造になっていったのです。

時代がそっちがオシャレだよって言い始めたからです。
族になるかチーマーになるかで悩んでいる中高生が多かったそうです。
クルマの世界も同様で竹ヤリ出っ歯からシーマに代表されるような
高級車のシャコタンが流行だして、(いわゆるVIP風カスタム)
みんなシンプルな改造になっていったのです。

そんな事もあり、族車が誌面から消えていきました。
その代わりスクーターとかモンキーが人気だったのです。
そして内容が50CC改造本になったわけです。




「私(管理人)は、笠倉出版社の暴走族雑誌のチャンプロードにも詳しいのですが
ライダーコミックが暴走族路線をやめた時期を境にチャンプロードの紙面構成が
暴走族路線時代のライダーコミックと似た感じに変化したように感じられたのですが、
一部のスタッフがチャンプロード編集部に出版社を越えて移動したのですか?」


そのような事はありませんでした。




「ライダーコミックの50CC改造記事はガチンコでしたね」


ライダーコミックの良い所って広告主にパーツメーカーがないところです。
もちろんバイクメーカーも。 スポンサーが付くとどうしてもそのメーカーの製品を
褒めないとダメですから、それではパーツの性能チェックなんか出来ないですよ。

必ず広告主の製品が一番になるか、複数のメーカーが入っていれば
どちらが優秀なのかわからないような読者にとって不誠実な表現しか出来ません。

それがなかったからRCのパーツチェックは読者さんからの支持を受けたのです。
誠実なチェックをしていたからこそ、そのスタンスを気に入っていただける
メーカーさんも出てきたのです。 デイトナさんがそうでした。

良くも悪くもユーザー視線のチェックに賛同して頂き、いろいろ協力してくれました。
U字ロックとかアクセサリーのような性能に直結しないグッズは提供を受けたと思います。
ただし真剣勝負のパーツチェックは全て編集部で購入してチェックしていました。

あと2スト50CCのピストンを作っていたオートボーイさんも協力してくれました。
キジマもでしたね。どのメーカーさんもユーザーレベルでの使用感というか
実験データに興味があるわけです。 (当時はもちろんインターネットなど無かった)

ユーザーは常にメーカーが意図している使用方法を取っていないからです。
とくにライダーコミックの読者は早とちりしがちですから。
末期は協力してくれるパーツメーカーさんもいましたが、
特定メーカーにべったりした記事は書きませんでしたよ。




「ライダーコミックは発行部数はどれぐらいでしたか?」

ライダーコミックの発行部数ですが22万部と聞いたことがありますが、
これだけ出ていれば休刊にはなりません。
当時は部数など気にせずひたすら誌面を作っていればよい立場でしたので、
正直末期の部数は社長と編集長しか知りません。なので最盛期も知りません。

私が編集長だったオートワークスが7万部くらいでしたから、
実際はこれと同じくらいなのかもしれません。



「ライダーコミックが93年ぐらいから人手不足っぽいのが紙面から感じたんですが」

人手不足ってことはなかったですね。数人で作っていましたが、
私のようにオートワークスというカー雑誌のスタッフも2名協力していました。
(95年2月号表紙の袴スクーターの2人はオートワークスのコンビ)
赤いDIOに乗っているのが私で、隣は「ミスターバイク」の
アルバイトだったマッスル石井くんです。




「95年11月号にリニューアルしたライダーチューニング(RT)は、
なぜあのようなひどい内容のバイク雑誌になってしまったのでしょうか」

ライダーコミックからからRTへの移行に際して大勢のスタッフが抜けました。
というか主力メンバー全員が抜けました。 理由は待遇の問題です。




「お話を聞く所によると、くま氏がデリ★ハンの原稿を全部持っているのですか?」
※ライダーコミック92年8月号〜93年7月号連載 未単行本化


※高畠かづを 鈴木がんま 鈴木雅洋 はペンネーム違いの同一人物です。 
今回は代表的なペンネームである「鈴木がんま」で話を進めます。



予告編も含めてデリ★ハンの画稿はすべて私の手元にあるハズです。
当時はデジタル化されておらず、鈴木がんま先生が描かれたオリジナルの画稿に
フキダシの文字を貼り込んでいくのが私の仕事でした。

消し忘れの鉛筆を消したり、ハミ出しを修正ペンで消したりもしました。
ストーリーはがんま先生と一緒に考えましたので、思い入れはたっぷりです。
メカも女のコもしっかりと描ける人でした。単行本もサイン入りをいただきました。
画稿の返却も兼ねて、ぜひともお会いしたい人です。

ライダーコミック92年9月号での鈴木がんま氏とくま氏のお遊び企画


鈴木がんま先生はエアガンが好きでしたよ。 ほんと男の仕事場って感じでした。
当時はオタク(エアガン、アニメ、プラモ、マンガ好きという人たち)
っていうものが、まったく認知されていませんでしたので、
鈴木さんと趣味が似ていた私は月に1回の内容打ち合わせは楽しいひと時でした。

月に1回の原稿受け取りは鈴木さんはヘトヘト、私は多忙ってな感じでしたね。
ほんと鈴木さんにお会いしたいです。そしてデリ★ハンに陽を当てたいです。
画稿は全部ありそうです。BIKINGのイラストもありました。
ライダーコミックにおける鈴木さんの全仕事の物はあると思います。
鈴木さん私よりちょっと年上ですから今は50歳前後ですね。




※鈴木がんま氏はライダーコミックの他に
成年コミック誌での活躍と、一般向け作品もいくつか出していた。
2003年頃のアダルトコミックの単行本を最後に活動は途絶えている。

※漫画イベントなどで当時の鈴木がんま氏と会話をした人の話では
「デリ★ハンの原稿はライダーコミック編集部が紛失してしまい
原稿がもう無いんですよ」 と言っていたらしい。




残念ながら西村ひろみつ氏と石神ただし氏の行方は
くま氏もわからないとの事。

以上 元編集部員のくま氏でした。



【追記】

2013年9月15日に鈴木がんま氏は
脳内出血で自宅アパートで倒れ亡くなられました。

「今中光太郎」 名義で亡くなられる寸前まで
アニメグッズの版権イラストの下請けや
アダルトゲームの原画などを手がけていました。

管理人とくま氏が一緒に鈴木がんま氏を探したのが2013年6月で、
その時は見つからず、当時のファンからの情報提供を得て
捜索を再開した結果、2013年の10月後半に
鈴木がんま氏と親しかった水原賢治氏にたどり着き
すれ違いのタイミングでこのような悲しい情報を得る事となった。


作品の管理は友人である漫画家の水原賢治氏がご遺族から一任されています。
http://www.moon.sphere.ne.jp/gentoukai/  水原賢治氏のホームページ

デリ★ハンの原稿はくま氏から水原氏へ一旦渡り
商用利用可能なスキャンデータ化を行ってから再びくま氏が保管する事となった。

このライダーコミック資料館が無ければ水原氏とくま氏が繋がる事もなく
原稿は行方不明のままだっただろう。 長い長い時間がかかったが
鈴木がんま氏のもとへ原稿が一度帰る事ができたのである。









ちなみにこの「世路死苦ブギ」はチャンプロードの初期の連載作品だったのだが
単行本はなんとライダーコミックの辰巳出版から刊行された


しかもライダーコミックの1ページまるまるに単行本発売の告知が載ったりと
このへんは色々な大人の事情があるのだろうが面白い話である
作者が両方の出版社でお仕事をしていたし、そのへんもあるのだろう

単行本には何の雑誌に連載されていたかの記述は一切無し
理由はわからんでもない気がする

ちなみにチャンプロードの連載漫画で唯一単行本化された作品である



暴走族雑誌つながりで紹介しましょう
少女暴走伝説Fair  (きらたかし)

「ティーンズロード」に連載されていた漫画で
オリジナルの単行本は入手困難でしかも2巻が出ずに最後まで読めませんでしたが
講談社から完全版で、書き下ろしの後日談まで付いて復刊しました

雑誌掲載時では主人公が電柱の上に登るシーンのページの順番を間違えて
雑誌の次の号で編集部が謝罪をしていました (下巻の76ページ)
国会図書館にその号のティーンズロードがあります





ライダーコミックはいろんな要素で10年早かった雑誌だと思う
ネットの発達した今の時代だからこそ
記事&漫画数本のコンセプトの雑誌が必要なのだ

例えばマンネリなネタも漫画でやれば何度も違う味に焼き直せる
バイクでも車でも、カメラ、鉄道、模型、スポーツでも何でもだ

ホビー系雑誌業界は漫画の重要性を見直すべきだ
もはや乗り物雑誌の整備ネタは個人ブログにすら勝てないだろう
ならばその雑誌でしか読めない漫画を売りの一つにするべきだ

4ページ程度ではなく16〜20ページぐらいの連載漫画が
最低でも1つは欲しいものだ バイクメンテ漫画が読みたいんだ

無名のモデルの女の子が「オイル交換に初挑戦!」とか
どこぞのマニアの家のガレージ訪問とかそういうのもういいよ…

ライダーコミックのようなバイク雑誌が今こそ必要なのだ
確かにライダーコミックは消滅した しかし失敗ではなかったはずだ

ライダーチューニングがどうしようもないゴミだったのは確かだけども
はっきり言って、今のほとんどのバイク雑誌はライダーチューニングと大差は無い

問題点を見直し、新たなライダーコミックのようなバイク雑誌が作れるはずだ
新雑誌を作らなくてもテコ入れとして漫画を載せるようにだってできるはずだ
それこそ初心者やライトユーザー向けとして作ってるバイク雑誌にこそ漫画が必要だと思う

このライダーコミック資料館を一通り読み終わったあなたは
今本屋に並んでいるバイク雑誌を手にとって色々と考えてみてほしい


ちなみに管理人はライダーコミックの当時のリアルタイムでの読者ではなく
ライダーコミックの存在を知ったのはつい最近のことで、思い出補正も何もありません
なのにこんなにハマってがんばって探し出し、ある時は安くないお金を出して入手し、
こんなページまで作ってしまうんだからライダーコミックの面白さは今も色褪せない本物なのですよ

少し大げさかもしれないが これがバイク雑誌だ と言いたい ええ






【資料提供協力】(敬称略)
マッキー・DAX・村人・二次裏mayのとしあき
BIG HONおズさんこと鈴木ヒロユキ


【協賛】(敬称略)
マッキー・DAX・BEAT082・LOST
S・mk・c90・kiiro50・二次裏mayのとしあき
イエローモンキー・ヘルメット・庭師・グロマグロ
格・税金泥棒・秋葉系・ぱーしゃる・建築家




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