原付板外伝 NS50F その5

なぜ昔の乗り物の部品は当時のパーツリストの価格表より値段が高いのか?
原材料の高騰? 金型の維持費? 石油の高騰?
物価の値上がり? 当時より人件費高い? 会社がやばい?

そのせいで昔1000円で作れた物が今は1500円必要だったりするの?
それは理解できるけど…。 プラモだって高くなったもんね。

でも例えば発売当時に5000円だった部品そのものをホンダの倉庫にずーっと置いといて
注文があった時に引っ張り出してきて8000円とかで売るのはどうして?保管料とかなの?


実は日本の税金の決まりで、乗り物の補修部品も会社の資産扱いになり
メーカーの倉庫に棚に置いてある部品には勝手にどんどん税金が上乗せされていくのだ!
ひでえ…なんでそんな決まりになっているんだ?



補修部品はメーカーの部品倉庫で眠っているだけでどんどん値段が高くなる!

だが、例えばある個人バイクショップが新型バイクの発売直後、
補修部品の値段がパーツリストの通りの安いうちに
タンクだの高価な外装部品をそれこそ大量に仕入れたとしよう。
それには製造メーカーのように倉庫に置いといても税金が上乗せされることは無いのだ。


そのショップがプレミアをふっかけない良心的なところなら
仕入れた時の安いままみんなに買ってもらえる。
売れないと在庫抱えてやばいけどね。
モンキーではそんな感じの事をやっているショップがある。


不思議だねえ。 じゃあ各乗り物メーカーは
補修部品は別会社扱いにして降ろせばいいんじゃね?と思うが
管理人ごときが思いつく事を大企業お抱えの税理士が思いつかないわけがないので
たぶん税金の面倒な決まりがあるんでしょうな。 おお怖い怖い。


でも値段が高くなっても新品の部品が出るだけマシなのだ。
本田宗一郎氏が亡くなってから「部品が出るホンダ」も今は大昔のお話。
それに不景気も重なり最近は比較的新しいバイクもすぐに欠品だらけに…。

それこそNS50Fなんてここ最近の排ガス規制をあざ笑う大問題児。
ただでさえ昔から少しの改造で原付とは思えぬスピードを出せる問題児扱いだったのに…。
保安部品と消耗品すら欠品だらけにして本気でこの世から抹殺する気だな! 外道〜

2サイクル車は道路を走ったら犯罪になる世界になるまで
このNS50Fはしぶとく生き延びてやる。


で、


キックは降りるし、排気ポートからシリンダー内部を見てみると
ピストンの側面に傷も無いし、ピストン製造時の旋盤痕があるくらいだ。
シリンダーの内壁にも特に痛みも無いしカーボンの蓄積も無い。

今回はクラッチも特に問題は無さそうだし、
無理にエンジンを全分解して整備する事も無さそうだ。
キックも降りるし圧縮もある…と思ったが…。

あれ? キックを5回ぐらいすると
決まってガキッとキックが完全にロックしてしまう。
ある角度から全くそれ以上キックが降りない。

無理にキックをしようとすると
エンジンが壊れるかもしれないので
ガンガン蹴ったりなどはしない。


だが、一晩経つとまたキックできるようになっている。
でもまたキックを数回するとロックする。

他に整備する箇所があるので、数日様子を見るが
直ってはロックし、一晩経てばまた直りの繰り返し。これは一体?


ロックした状態でプラグを外してみたらキックが降りるようになった!
キックをするとオイルがべちょべちょ噴き出してきて、
マフラーを外すと中からオイルがたっぷり出てきた。


このエンジンはオイルポンプからマニホールドにオイルを補給して
ガソリンと一緒に燃やす構造になっているのだが
原因はオイルポンプの劣化で、オイルがじわじわ染み出して
劣化したリードバルブも素通りしてクランク内がオイルでチャプチャプになり
キックでシリンダー内に吸い上げられオイルロックしていたのだ。

ウォーターハンマー状態みたいなもんだ。
混合気の変わりにシリンダー内にオイルが溜まっているのでは
圧縮されずにキックが動かなくなるわけだ。



オイルポンプも腐っているが、
リードバルブもいい加減交換しなければなるまい。
走行距離は18000キロぐらいとはいえもう20数年前の物。
リードバルブのフィンが劣化して密閉性も悪くなっている。
息を吹き込んでスカーッと空気が無抵抗で抜けるようならダメ。



新品でございまする。
新品は息を吹き込むとペーとかブーって音がして抵抗がある。
2ストエンジンでリードバルブの劣化はお約束なので交換はしたほうがいいね。
キャブもどのみち掃除しなければならないので交換だ。



新品ポンプ けっこうなお値段ですなあ。



※これは部品取りの破損したエンジン
このブーメラン状の部品が何の役に立っているのか
組み直した今もさっぱり理解できませぬ。

オイルポンプセッティングプレートと言う。 角度をずらす事もできるのだが
オイルポンプ本体やケーブルホルダーの角度をこれで調整するわけでもなし
別に無くてもいい気がするが、本当に一体何なのだろう?


むむ、プラスネジでがっちり固定されているな
サービスマニュアルを読むとネジロックも塗ってあるようだ。
クランクケースのここの隙間からドライバーを挿すようになっている。
とてもじゃないが手首の力だけでは緩まないよ。
ロングビットを付けたインパクトで叩かないと緩められない。

でもネジロックが塗ってあるぶん、ネジ山がシールされてるから
ガチガチに錆び付いて緩まないってことが少ないのかな?


手首の力だけで緩めようと無理をしてネジ頭を傷めると
緩めるのが非常に困難になるので
無理せず苦手な人はプロに緩めてもらおう。

なんでプラスネジなんだろうね?ホンダの設計者が
素人がいたずらで簡単に緩められないようにしたのかも?

ここの35ミリのプラスネジはよく調べてみても
特にプラスネジでないといけない理由は無さそうなので
整備性向上のためにクランクケース全体に使われている
8ミリスパナ用のフランジボルト35ミリに交換しましたよ。
フランジボルト35ミリの部品番号 96001-06035-00

同型エンジンであるNS-1やNSR50なども調べてみたけども
やっぱりプラスネジですな。

チューブ類なども全部新品にする。
ビニールチューブ類がはまりにくい時は潤滑油を塗るのはもちろん
チューブの先をドライヤーで暖めると柔らかくなって奥まできっちりはめやすい。



オイルポンプ周辺をいじったあとにやらなきゃいけない事
タンクにオイルをドボドボ入れれば混合オイルになるというわけじゃないよ。
きちんと容器で混ぜないと混ざりません。

別に混合オイルのまま走っても問題は無いので
空気抜きを終わったからとガソリンを入れ替える必要はございませぬ。



キャブも掃除しましょうかね。
フロートが真っ白のままだねえ。 中には少々汚れが底にあったので
しっかり掃除をする。 スロージェットが完全に詰まっていたので交換。


このキャブは清掃後、運良く好調だったが
キャブというものはダメな物はどうやってもダメなもの。

例えば昨日まで調子良く走っていた車体ならともかく、
中古キャブやレストア時にジェット類を交換して掃除を3回しても
調子が戻らない物はもう内部が腐ってるものとして無理に使おうとせずに
消極的な戦法ではあるが思い切って交換する物量作戦もけっこう大事。

どんなキャブもそうだが穴は通っているから
そのキャブは健康とは限りませぬ。
日本製の新品キャブも運が悪いと初期不良だってあるからね。



NS50Fはとにかくキャブを外すまでがとっても手間!
バッテリーを外し、バッテリートレーを外し、エアクリボックスをずらさないと
キャブを取り外す事ができない。

まあスクーターや大きいバイクの不調キャブ整備に比べれば楽なもんですが。



NS50Fのバッテリートレーはエアクリボックス本体に装着する構造になっているので
おかげさまで社外パワフィルなんかにされている事が少ないのですよ。

パワフィル仕様にするにはバッテリーレス仕様にしなきゃならないなど苦労が必要。


エアクリボックスをくり抜いてパワフィルを無理やり付ける奴もいましたがね。
…それパワフィルの意味あるのか?

もしくは毎度おなじみのエアクリエレメント抜きとか?

ほんとね、厨房は社外CDI/改造マフラー/パワフィルorエアクリエレメント抜きが大好き!
このへんの悪しき風習は後のモンキーやスクーターでも伝統になる。

いじくられたレストアベースのバイクで、エアクリエレメントなどがきちんと入っていると
逆に薄気味悪く思っちゃうぐらいですよ。 モンキーなんか特にね。
エアクリボックスのメッシュにわざわざ穴開けてあったりとかさ。

空気をいっぱい吸わせりゃ速くなるなんて発想はどこから来るのかしら…。
キャブってそういうもんじゃないから。



でも今回はエアクリはノーマルのままでしたよ。 マフラーもノーマル。
おお?機関でいじくられてたのはあとで出てくる「レブブースター」だけ?


エアクリの中身のエレメント(スポンジのようなもの)は当然劣化しております。
触るとグズグズ崩れて細かく砕けて「砂」になっていきます。
もっとひどいものは本当に砂のようにサラサラ崩れていきますよ。

生産されてから一度もエレメントを交換されていなくて、放置歴が長い車両を
エアクリを点検しないままエンジンをかけると、吸気でエレメントが砕けて
キャブ、シリンダーに吸い込まれて故障してしまうことも。



これは新品一式。
新品なのでボックス本体とフタに歪みがあり、合いが悪いので
ストーブで温めながら組み立てるといいでしょう。


右下にあるフタのパッキンリングは統合されて、長いゴムひも状の物を
使う長さに切って丸くつなげてはめこんでくださいとの事。

まあ別に説明書通りにボンドでくっつけてリング状にする事もあるまい。
これ長さがけっこうあり、きちんと伸ばしながらはめていくと
ちょうど半分でエアクリ一個ぶんになったのでパッキンが一袋余っちゃったよ。



今回は元のエアクリボックスが奇跡的にも破損が一切無く
中のエレメントを交換しただけで再利用できてよかったよかった。
汚れも落としつつ整備を進めるよ。
ウインカー配線も修理したよ。


エアクリボックス一式、当時の定価からしてかなり高価でございまする。

新品が出ただけ幸運と思わねばならないが、まるまる一式で8000円近くしたよう…。
もう一台を手に入れる時のためにもう一式買ったのだが、なかなかの出費。
だが近い未来、金を出しても新品を買えなくなる日が来るのだ。


NS50Rは純正エアクリボックスそのものが付いてきませぬ。
どうせ捨てられてファンネル仕様にでもされるんだろうから
直キャブ仕様で売ったのかもしれないね。 本当のところは知らんけど。




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