原付板外伝 NS50F その2

さて色々とお化粧直しをしていきましょう。 先は長いぞ。


バイクも車もそうだけど
事故・転倒や自然現象、時間の経過で自然に壊れた物を直すより、
いい加減にいじくり回されて糞にされた物を直す方が大変。
わざわざこんな事しないでノーマルで乗ってろ馬鹿野郎。
これはカスタムじゃねえただの破壊だ。 改造と改悪の履き違いだ。

レストア派のあなたはそんな気持ちがわかると思いまする。

カスタム派のあなたは今自分が付けようとしている部品は
本当に必要な改造なのか?実は改悪なんじゃないか?


機能は別としてファッションとしてカスタムパーツを付けるにしても、
どんなに良い部品でもいい加減に適当に付ければ
それはただのゴミと同じなのでございまする。


もしもバイクに心があるのなら
そんなもんわざわざ付けるんじゃねえよと
思っているかもしれませぬ。

ノーマル万歳というわけじゃないけども
そのへんを理解しないで無計画に無意味な物をゴテゴテ色々付けて喜ぶのは
似合いもしないブランド品で全身を固めた醜悪なオバチャンと何も変わらない。
ステッカーベタベタでゴテゴテいろんな物付けたミニ四駆のようなもの。


その上いい加減な作業で装着していたらもう目もあてられない。
最初から何もしないでノーマルで乗ってろアホと言われてもしょうがないよね。

でも初心者の頃のいじくりまわしって楽しいよね! それは否定しない。
あれを付けてみたい これを付けたらどうなるだろう? ここいじるとどうなるかな?
いろいろやってみたい頃が一番楽しい いろんなバイク雑誌買ってみる頃が楽しい!
一台目の乗り物は犠牲になるものなのだ。 車でもバイクでも。


今回は各部の経年劣化も多いし、破損部品もいっぱい。
そして糞改造で色々と部品が取り外されてて大変です。
まあ部品が出るギリギリのうちで良かったけどね。



さて、偉そうに愚痴をぶちまけるのはさておき


今回は樹脂パーツと壊れやすいパーツをメインに2台分色々と買いました。
中古で色々と部品を集めているうちにもう1台レストアできそう。

安いそこそこのレストアベースぐらい
近場ですぐ見つかるだろと思ったらジャンク車すらありませぬ。

あれだけいたNS50F達はどこに行っちゃったんでしょうね。

それともこのもう1台分の部品は今のNS50Fを生かし続けるために
保管しておいたほうがいいのかな…。


さて

とりあえずエンジン関連は後回しにして
まずは色々と大変な事になってる前足の整備です。
今回のレストアの大半は前足整備になりますな。

先にかかった金額を発表すると
前足の整備だけで4万円近くかかってます。


NS50Fの純正ハンドルエンドは樹脂製なので、転倒で折れて根元がハンドル内に残る。
このハンドルエンドはがっちりはまっていて、新品を装着するにも
木槌でコンコンと叩いて打ち込んではめるぐらいなので
ドライバーなどでこじってもまず取れませぬ。

NS50Fのハンドルパイプはまっすぐで反対側から太さの合う棒を突っ込んで
叩き抜く事も可能だが、ちょうどいい棒を用意する事ができなかったよ。


今回はハンドルも錆び錆びで塗装するので
バーナーで中に残った根元を焼き溶かし、
柔らかくなったら割り箸にからめてスポンと抜きます。
塗装前提なので少々荒業ですがね。


今回は純正ハンドルエンドだからいいけども
社外品の金属製ハンドルエンドが付いていると
先端を外しても一部がハンドル内部に残って取れなくなったりする。

今回はまっすぐの短い貫通ハンドルだから
そういうのが付いてても反対側から棒を打ち込むなどで外せるが、
普通のバイクのハンドルだと厄介だよね。



ハンドルの元の塗装はうすーく固い塗装なので
家のヘボいサンドブラストでも充分バリバリはがれました
パイプの内部も錆びてたけどもブラストでピカピカに。

ハンドルは鉄だけなのでサンドブラストが無くてもスケルトンで塗装を剥離し
花咲かGにドブ漬けで錆び取りもいいですね。

ハンドルは露出部分が少ないので
塗装は2液ウレタンでわざわざ厚く塗る事も無いかと思い
下地には金属模型用のクリアメタルプライマースプレーを吹き、黒のラッカーで塗りました。




今回は出る部品の都合もあって、ネイキッド仕様にしましたよ。

NS50Fマニアの中にはネイキッド仕様は邪道と言う人もいるが
まあ管理人もできる事ならフルオリジナルにしたかったんだが、

このNS50FK-2の外装一式が新品で全部揃わないのと、
アッパーカウルなども含めると手に入る外装だけでも
全部新品で揃えるとかなりの金額になるからです。

それでももしこの年式の色の外装全部が新品で出るなら、
けっこうな出費になるがライト類も含めて全部買う覚悟はしてたんだが、
カウルを構成する細かい部品も欠品だらけなもんでして。

全部の新品外装がオークションで出品されるのを待つのは無理な話。

NS50Fの中古外装で綺麗な物を探すのはまず不可能。
なにしろ手荒に扱われるバイクだからね。 走りも「改造」も。


気楽に乗る用に小さい凹みいくつかと少しの錆び程度の
「そのまま使える程度中の上ぐらいの純正色のままのタンク」でも
探して付けようかと思ったが、オークションなどで出回っている物は
ボロボロベコベコなのにぼったくり価格の物ばかり。

※ボロボロに1000円とかじゃなくて平気で穴開きに5000円とか付けてる
脳がスポンジ状になってんのか?というキチガイ業者ばかりですよ。

今時NS50Fの中古部品をオークションで売っているのはほぼ業者だけで
商売とはいえ本当にどうしようもないゴミをぼったくり価格で売ってるからなあ。

NS50F関連の良い部品を出品している個人はほとんどいないんだよね。


今回は少々無理をしてでも新品タンクを買ったほうが良いだろう。
これ書いてる時点で各年式の何色かは新品在庫がまだそこそこあって
34000円前後で買えるので注文だ。

まず何は無くともタンクが無ければお話にならないからね。
買えるうちに買っておかねばならない最重要部品だ。

とにかくタンクだけじゃなくてテールカウルもアッパーカウルステー関連も欠品だらけで困っちゃう。


管理人はNS50Fはむしろネイキッド仕様の方がスタイルが好み。
NS-1やNSR50のネイキッド仕様はバランスが悪いから嫌い。


NS-1やNSR50はHRCのレース仕様でもフルカウルですが


NS50Rはこの通りネイキッドでゼッケンプレート仕様での販売。
そうNS50Fはネイキッド仕様がよく似合うのだ。


そうだ!どうせ年式通りの外装が無いなら今回はNS50Rの外装を入手して
真っ白に仕上げよう。 目指すものは公道仕様のNS50Rだ!

※NS50Rは見本の画像ではカラフルだが、本来はステッカーも何も無い真っ白状態。
だが衝撃の事実があとで待っているのだった。




先にメーターとハンドル、ライト回りの完成がこれにございます。
普通のネイキッド仕様ですが、実は綺麗に仕上げるのが大変。
なぜかって? キタコだからさ。 寸法ギリギリには定評のあるキタコだからさ。

わけのわからぬハザードスイッチの代わりに純正キルスイッチを付けました。



かつて各パーツメーカーで出していたNS50Fネイキッドキットで
生き残っているのはキタコのみ。 現在カタログ落ちしているようだが
2008年の末の時点でまだ在庫は一応あるようだ。
これがキット内容。 うーむライト一式はR&P用かな?なんか違うな…

なんとなくライトが小さいような気がする…最近のキタコは純正流用をやめて
自社ロゴは入っているものの中華クオリティパーツを採用するようになってきたからな。



今回はもともと付いてたデイトナ製の汎用ライトブラケットとウインカーが
奇跡的にも歪みや傷が無く、そのまま使えるので再利用決定。
ヘッドライトも無傷のまま。

これが今回もともと付いてたステー。
キタコのわけのわからぬマルチサイズライトステーよりこっちの方がマシ。


結局必要なのはキタコのNS50Fネイキットキットの中身のメーターブラケットのみ。
このネイキッドキットをまるまる一式買う事もございませぬ。
キタコの事だから補修用としてバラで売っているはずだ。

はて このキタコのネイキッドキット、
昔はもっと無骨なライトブラケットとライトだったと思ったが?
あのマルチサイズライトステー、本当にがっちり固定できるのかな…。
まあそれはさておき



ブラケットだけ売ってましたね。
スペアともう一台NS50Fを入手した時の事も考えて3つ買いました。
在庫は2個だけ。 ネイキッドキットがあと2セットしか無いのか
補修用ブラケットの在庫が2個しか無いのか知りませんがね。
※あとで1個を掲示板の常連が買いました。

デイトナのNS50Fネイキッドキットはすでに在庫も無いようなので
補修部品としてのステーの入手は無理でした。 画像も発見できませぬ。


オークションで見かけたメーカー不明のネイキッド用メーターステーと
メーカー不明のNS50Fバーハンドル化クランプ。

メーターはブレーキマスターをよけるために左寄りに付きます。
あとで説明するけど、もうハンドル右側の各部品が窮屈で
いろんな物が紙一重な隙間で付いている。

キタコは本当に毎度毎度ギリギリ寸法が好きだなあ。
ここまでギリギリに作れるのは技術力の高さなのか、
はたまた頭がおかしいのか。



これはもともと付いてたデイトナの汎用ライト。 正体は平成ヤマハRZ50と同じ物。
ライトステーの取り付け幅は174ミリ。


ライトステーを磨いて仮組みしてと。

あれ? 元のヤマハRZ50ライトケースが付かなくなっちゃったよ。
ライトステーのゴム板を適切な厚さであろう2ミリ厚の物にしたら
取り付け幅が狭くなって付かなくなっちゃった。

このRZ50ヘッドライトは左右のゴム部分が無くては装着できない構造。
かといって元みたいな分厚いゴム板を付ける気にはなれませぬ。
振動とか色々問題が出てくるだろうしな。



今の状態のヘッドライトステーの間隔を計測して、
試しにモンキーのヘッドライトケースをはめてみたら
これがまたほぼジャストフィット。

つまりモンキーのライトと同寸法で余計な物が付いてない
R&Pのライト一式が使えるわけだな。
ライト内の容量はモンキーのライトケースに比べて狭いが
背中と底に大きめの穴が2個開いているのでハーネスのレイアウトがしやすく
みっちり詰め込む事ができる。

実際作業してみるとわかるが、NS50Fはハーネスが太く数が多いので
2個の穴はどちらも完全活用ですよ。
ケース内の配線は本当にみっちりになるので、レンズをはめる時の事を考えて
最初からひとつひとつ整理しながら配線を配置すること。
きちんとできてれば無理なく納まる。 力づくでレンズをはめちゃダメよ。


今回はライトステーの隙間が2ミリほどできるので
スペーサーとして1ミリ厚のM8ワッシャーを2枚入れると
きちんとライト/ステー/フォークそれぞれに垂直が出るので、
しっかり固定してもステーは歪みませぬ。

なにしろこのライトステーはペラペラのステンレス板だからね。
紙細工だと思って作業しなきゃいけない。



先にライトまわりの完成形をお見せしよう。
何しろもうあれこれいろんな問題が作業中に出てきて
一個装着実験してはのんきに撮影なんて心の余裕があまり無いわけです。

おうおうメッキリムが光り輝いておるわい。


仕様しているライトは古来より各社ネイキッドキット用ライトとして
今も使われている事が多いホンダR&Pのヘッドライト一式。

モンキーのヘッドライトリム一式がそのまま付くし
取り付け幅もモンキーのライトケースと同じ。

ライトケースの形状も絶妙にメーターケーブル2本をよけるのでナイス。


レンズ部分は最近のホンダの主流になった樹脂レンズを使用。
エイプや12Vモンキー後期型などに使われている。

樹脂レンズの質感がガラスレンズよりもNS50Fに似合っていると
管理人は個人的に思っておりまして。 そして軽い。



探してみるとわかるが
純粋にライト機能のみのライトケースASSYってのは
意外となかなか無い物です。

本当はR&Pライトよりも
黒いプラスチックのリムの四角いライトなんかが欲しかった。
丸いのはR&P用だと思うが…何かリムが深いな。 CD125用かな?
四角いのはヤマハTZR125用らしいがよくわかりませぬ。
90年ごろのバイク雑誌の広告から。

四角い方の取り付け幅はどれくらいなんだろう…。



まあそれはさておき

ネイキッド仕様部分の理想は海外仕様の
NS50-USなのだがもう部品が全然ありませぬ。

NS50の海外仕様がこれ。
海外の法律用にネイキッド以外にも細部が色々違うのが面白いね。


オークションで見かけた海外版のNS50-USの画像。

ネイキッド仕様でスポークホイールのドラムブレーキ仕様が標準。

メーターはスピードメーターのみ
最初から100キロは出るであろうがドラムブレーキという素敵ぶり。

もうネイキッド仕様関連の部品が全く無い。
海外向けでも、部品が日本製なら注文して買える事がある。
たぶんこれも日本でもかつては買えたと思われる。

タイカブの部品やイタリアホンダなどの現地生産部品は
日本で車体が正式に販売された車種の部品でもない限り日本では買えない。

だが昔から日本のNS50Fでこの海外仕様を作った人の話は聞かない。
ドラムブレーキはさておき、純正ネイキッド仕様にしたかった人もいるのでは。

今みたいに情報が入手できなかった時代もあっただろうけど
一人ぐらい物好きがいても良かったとは思うが…。

俺は昔、純正海外仕様にしたよという変態がいたら一報ください。

海外仕様はネイキッド仕様がもともと。
やっぱりNS50Fはネイキッド仕様がよく似合う。



昔はどのパーツメーカーも国産バイクの汎用性の高いライト一式を探してきて
パッケージングして自社製品でございますと売っているのが普通だったが

ライトに限らず最近は昔からの大手社外パーツメーカーでも、
粗悪な中国製品を売るようになってきたのでもう色々と信用できませぬ。

ただでさえ社外品ってのは無加工で付く事自体奇跡みたいなもんなのに
それが中華製で、品質もなにもかもが悪いくせに、特に安いわけでもない。

NS50Fでここに来たNS専門の人にはわからんかもしれませんが
モンキーのパーツ業界なんか特にひどいもんですよ。

そんなことすると自社の首を絞める事になる・・・と言いたいが

バイクに限らず世の中の消費者は安かろう悪かろうでも満足する人間が多いのは確かなので
「本物」がわかる人にだけ商売してると立ち行かなくなる・・・というのがあるのは理解できる。
悲しいかなそれが世の中なのだ が それはそれでいいとしても
ちゃんと「本物」の販売も続けてほしいもんですな。 そう思わないかい?

だが以前は国産純正品を使っていたのが、お値段と箱そのままで
中身が中国製のコピー商品に変わっていたりなんてのもある。
さすがにそれは詐欺もいいところなのでそういう事する所は潰れてしまえ。

カスタムパーツのカタログを見て「これは本物の国産品なのかな?中国製のコピー品なのかな?」
と、ただでさえちゃんと付くかどうか不安な社外カスタムパーツをさらに疑いの目で見る。
そんなのちっとも楽しくない。 カスタムパーツカタログとうのはドキドキしながら読むものだろう?
このへんの話は次のブレーキまわり編でさらに語ることとしよう。



2009年現在、今もR&Pライトケースは生産されています。
ドリーム50などにも使われていたので色もいくつかあります。
黒以外に自分の好きな色をパーツリストで探してみるのもいいでしょう。


・ライトケース 黒 61301-399-000ZA
・ケース固定専用ナット2個 61303-105-000


今回使った12Vモンキー後期型プラスチックレンズ版のライト一式

・ヘッドライトリム 33101-KRL-003
・リムスプリング4個 33108-229-003
・ライトユニット 33130-GBJ-013
・リム固定専用ネジ2個 91508-KC2-960







さて、割り込みタップだらけだったメインハーネスは補修完了。
作業はこんな感じで、ダメになった部分を切り取り
可動部分などを避け、目立たない位置で継ぎ足して補修します。

外から見える箇所など、状況によっては専用の配線用ビニールパイプを通して
見た目を良くしますが、今回はライトの中なので配線用テープを巻いて元に戻します。



これはダメの見本
いじられバイクといえばこれが無いとむしろ落ち着かない。
これでハンダ付けでもしてあればまだ可愛げがあるがね。

…いや全然可愛くないな。 むしろ生意気だな。



キタコのキットの通りに作ると割り込みタップでメインハーネスに傷が入る。
色々と中間ハーネスをきちんと作りますかね。


改造キットではコスト削減やバイクの年式の違いで
いちいち専用割り込み配線とか付けると
高価になっちゃうもんだから
割り込みタップなんかがよく使われるが

メインハーネスを傷物にするし、断線などのトラブルも多い。
できる事なら使わない方がいいのだ。

例えば何か追加装備のアース用の緑色の線を
一本生やさなきゃいけない時なんか
こんな感じにきっちり中間ハーネスを作ってやればいい。
メインハーネスを傷物にしなくてすむ。


応用でアース用のメスギボシのメス穴が足りない時は
例えばキタコのこれを使って(ホンダのギボシ規格)
メス穴を一個増やしてあげるのもいいでしょう。


純正と同じカプラや端子などの配線の材料は
よほど特殊な物で無い限り、かなり気軽に探せるようになった。

ネットでそういう情報も得られやすいんだから良い時代になったもんだ。
バイク関係は「配線ドットコム」なんかで検索するといいでしょう。

こういうのが一番面白い所なんだから、ここで楽しまないのは
ジャンプを買ってドラゴンボールを読まないで捨てるようなもの。
三国志で赤壁の戦いのあたりを読まないようなもの。




ちょっと一休みしましょうかね。
メーターとライトまわりの話だけで2ページ使っちゃうよ。




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